マンションの法定点検とは?種類や負担対象について詳しく解説

「マンションの法定点検って何をするの?」
「住民は何をすればいいの?」

こうした疑問を感じた方に向けた記事です。

この記事でわかること

  • 法定点検と任意点検の違い
  • 主な法定点検の種類と頻度
  • 点検にかかる費用と住民の負担割合

マンションでは法律により、建物や設備の定期点検が義務付けられています。
エレベーターや消火器など、目に見えない部分まで安全を確かめるためです。

点検は管理組合や業者が対応しますが、住民の協力も欠かせません。点検内容や費用、スケジュール管理を正しく知ることで、無駄なトラブルを防げますよね?

この記事を読むことで、法定点検の全体像をつかみ、安心して対応するための準備ができます。
マンション生活の安全を守るために、今のうちから正しい知識を身につけましょう。

まずは、基本からひとつずつ確認していきましょう。

池田写真


この記事の監修者

株式会社デュアルタップコミュニティ 代表取締役社長
池田 秀人

2017年6月株式会社デュアルタップ入社、2017年10月株式会社デュアルタップコミュニティ設立(取締役就任)、2018年7月株式会社建物管理サービスの株式取得し、完全子会社へ(取締役就任)、2019年7月専務取締役に就任、2020年7月代表取締役に就任~現在に至る

所有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

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マンションの法定点検とは?

マンションの法定点検とは?

マンションの法定点検とは、法律に基づいて定期的に実施が求められる点検のことです。住民の安全を守るため、国や自治体が義務として定めています。

建築基準法や消防法により、建物の構造や設備が正常に機能しているかを確認します。対象となるのは以下のような設備です。

  • エレベーターや昇降機
  • 消火器やスプリンクラーなどの消防設備
  • 非常用照明や避難はしご
  • 排水管や換気設備

例えば、エレベーターは通常の保守点検(一般的に年4回程度)に加え、年1回の法定検査が必要です。消防設備についても、年2回の法定点検と3年に1回(年1回の場合あり)の消防署への点検報告書の報告を定期的に行う義務があります。

法律で定められている以上、管理組合やオーナーが対応を怠ると、罰則や指導を受ける可能性があります。適切な点検は、事故やトラブルを未然に防ぐ第一歩です。

法定点検と任意点検の違い

法定点検は、法律により実施が義務付けられている点検です。建築基準法や消防法などに基づき、点検の対象や頻度、報告先まで明確に定められています。点検を怠ると、行政指導や罰金といったペナルティを受ける可能性があります。

一方、任意点検は管理組合やオーナーの判断で実施する点検です。設備の老朽化が気になる場合や、大規模修繕の前後に状態を確認したい場合などに行います。法律上の義務はありませんが、トラブルの早期発見や費用の抑制に役立ちます。

例えば、排水管内のカメラ調査や外壁のひび割れチェックなどが任意点検に該当します。

法定点検は最低限必要な安全対策です。任意点検を組み合わせることで、マンションの資産価値と安心感をさらに高められます。

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法定点検の種類

法定点検の種類

1. 特定建築物定期調査(建築基準法)

  • 目的:外壁のはがれ・地盤沈下・避難経路の確保など、建物全体の安全性を総合チェック
  • 頻度:おおむね3年に1回(自治体条例で前後)

2. 建築設備定期検査(建築基準法)

  • 目的:換気・排煙・非常用照明・給排水設備が設計どおり機能するか確認
  • 頻度:原則1年に1回(規模や用途で例外あり)

3. 防火設備定期検査(建築基準法)

  • 目的:防火扉・シャッター・排煙窓などが火災時に自動作動し、人命を守れるか点検
  • 頻度:年1回(規模・用途で例外あり)

4. 昇降機(エレベーター・エスカレーター)定期検査(建築基準法)

  • 目的:制動装置・戸開閉装置・緊急通報など昇降機全般の安全確認
  • 頻度:年1回以上(法令上「1年を超えない期間ごと」)

5. 消防用設備点検(消防法)

  • 目的:消火器・屋内外消火栓・スプリンクラー・火災報知器・誘導灯などが正常動作するか確認
  • 頻度
    • 機器点検:6か月ごと
    • 総合点検:1年ごと

6. 防火対象物点検(消防法)

  • 目的:防火管理体制や避難経路の維持など「ソフト面」の防火安全をチェック
  • 頻度:年1回(一定規模以上の建物のみ義務)

7. 簡易専用水道検査(水道法)

  • 目的:受水槽(有効容量10m³超)の水質と設備衛生状態を確認
  • 頻度:1年以内ごとに1回

8. 貯水槽清掃(水道法関連)

  • 目的:飲料水源となる貯水槽内の汚れ・沈殿物を除去し衛生状態を保つ
  • 頻度:1年以内ごとに1回(10m³以下でも自治体指導で実施する場合あり)

9. 自家用電気工作物定期点検(電気事業法)

  • 目的:高圧受電設備(600V超)の劣化・絶縁抵抗・保護装置などをチェック
  • 頻度
    • 月次点検:1か月ごと
    • 年次点検:1年ごと

実施時の注意点

  1. 有資格者に依頼する
    各点検は有資格者しか点検できません。マンション管理会社を経由するか、直接業者を選定しましょう。
  2. 報告義務と保存期間
    点検結果は自治体・消防署へ提出し、報告書を管理組合が保管する必要があります(多くは3年)。
  3. 未実施のリスク
    行政からの是正命令・罰則だけでなく、重大事故時に管理組合が賠償責任を問われる恐れがあります。

点検の費用は誰が払う?負担割合

点検の費用は誰が払う?負担割合

マンションの法定点検にかかる費用は、原則として住民全体で負担します。

多くの物件では、毎月の管理費や修繕積立金から支出されるため、住民が個別に費用を支払う場面はあまりありません。

マンション管理組合・オーナーの役割

マンション管理組合・オーナーの役割

法定点検を円滑に進めるには、管理組合やオーナーの判断と手配が不可欠です。点検の質や住民満足度にも影響するため、的確な対応が求められます。

点検業者の選定と契約

点検業者の選定は、設備の安全性と法令順守に直結するため慎重な判断が必要です。

専門性や実績、資格の有無を確認し、複数社から見積もりを取ると比較しやすくなります。例えば、消防設備なら消防設備士の在籍が条件となります。

エレベーター点検では、国土交通省に登録された保守会社が対象です。契約時は、点検範囲・回数・報告書の提出方法などを明文化し、トラブルを防ぐ準備が欠かせません。契約書の内容が不明確だと、点検漏れや追加費用の請求につながるおそれがあります。

信頼できる業者との契約は、マンション全体の安全管理に直結します。

住民への周知・スケジュール管理

法定点検の実施前には、住民への事前案内が必要です。

特に部屋の中に立ち入る点検が含まれる場合、住民の協力なしには作業が進みません。

掲示板への張り紙だけでなく、ポスト投函やメール配信を組み合わせて告知するのが効果的です。例えば、「●月●日 午前9時〜12時 火災報知器点検のため入室があります」など、具体的な内容と時間を記載することで混乱を避けられます。

スケジュールは建物全体と各戸をまたぐため、点検業者との綿密な打ち合わせが必要です。時間のずれや重複があると、住民と業者の双方に負担がかかります。

円滑な点検実施には、事前調整とこまめな案内が欠かせません。

報告書の保管・役所への提出義務

法定点検の後には、点検業者から報告書が提出されます。

管理組合はこれを保管し、必要に応じて行政機関へ提出します。

建築基準法に基づく定期報告であれば、特定行政庁への報告が義務です。消防設備点検の結果も、所轄の消防署へ提出が必要です。

報告書には不具合や改善提案が記載されている場合もあり、放置すると安全面での問題に発展する可能性があります。ファイルやクラウド上での保管だけでなく、理事会議事録や総会資料にも記録を残すと、引き継ぎや住民説明に役立ちます。

行政からの指導を受けないためにも、正しい報告と保管を徹底しましょう。

信頼できる点検業者を選ぶには?

信頼できる点検業者を選ぶには?

信頼できる点検業者を選ぶには、資格と実績を確認することが出発点です。

理由は、点検結果が住民の安全に直結するため、専門性と責任感のある業者でなければ危険が生じるからです。

選定時は以下の項目を必ず確認しましょう。

  • 建築士や電気主任技術者など国家資格の保有
  • 消防設備士の免許や登録証明の提示
  • 過去に対応したマンションの件数と建物規模
  • 損害賠償保険への加入状況
  • 点検後の報告書例や見積書の内容が明確かどうか

例えば、エレベーター点検では国交省の認定を受けた保守業者かどうかが基準になります。見積もりの安さだけで選ぶと、対応の質や報告の正確性に問題が出る可能性があります。

安心して任せられる業者と契約するために、比較と調査を丁寧に進めましょう。

よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

マンションの法定点検に関して、住民から寄せられる質問の中でも特に多い内容をQ&A形式で紹介します。

Q:エレベーターの点検って何をしているの?

エレベーターの点検では、運転に関わる安全性を確認しています。理由は、日常的に使用される設備であるため、小さな不具合でも事故につながる危険があるからです。

点検内容の例は以下の通りです。

  • ドアの開閉スピードやセンサーの作動確認
  • 制御盤内の異常ランプや配線のチェック
  • ワイヤーやブレーキの摩耗状態の確認
  • 緊急停止装置や通報装置の動作試験

点検は国家資格を持つ技術者が実施し、記録と報告書を作成します。定期点検は法令で義務付けられており、建物の規模や機種によって頻度が異なります。

事故を防ぐために、点検内容を知り、安全性に対する意識を高めましょう。

Q:夜間や休日でも点検されることがあるの?

結論として、夜間や休日に点検が行われる場合もあります。理由は、共用設備を使用する住民の生活を妨げない時間帯を選ぶ必要があるからです。

例えば、以下のようなケースがあります。

  • 火災報知器の鳴動確認を深夜に実施
  • エレベーターの停止を避けるため、休日前に点検を計画
  • 配電盤の交換作業を早朝に実施し、停電リスクを最小化

ただし、すべての点検が夜間や休日に行われるわけではなく、事前に管理会社や業者が周知するのが一般的です。

生活への影響を避ける工夫として、夜間や休日を選ぶ場合もあることを知っておきましょう。

Q:点検を拒否したらどうなる?

点検を正当な理由なく拒否すると、マンション全体の安全に関わる問題に発展します。なぜなら、法定点検の一部は住戸内に立ち入る必要があるからです。

具体的には以下のような不都合が発生します。

  • 火災報知器の作動確認ができず、点検未実施として報告される
  • 管理組合や理事会からの注意や警告文の送付
  • 定期報告の提出が不完全となり、行政から是正指導を受ける

点検には協力する義務があります。

住民の協力が、安心して暮らせる環境を維持する鍵になります。

まとめ

最後に、マンションの法定点検について要点を整理します。

  • 法定点検は建築基準法や消防法などに基づいて定期的に実施される
  • 法定点検と任意点検は目的と義務性が異なり、両方の活用が安全維持に有効
  • 点検の種類ごとに対象設備や頻度が細かく決まっている
  • 費用は管理費や修繕積立金から支払われ、住民全体で分担
  • 管理組合には業者選定・住民周知・報告書保管など多くの役割がある

まずは、自分が住んでいるマンションでどのような点検が行われているか、報告書や掲示内容を確認してみましょう。点検予定の案内があった場合は、立ち会いや協力を積極的に検討してください。

法定点検は、住民全員の安全とマンションの資産価値を守るための基本です。管理組合だけに任せるのではなく、一人ひとりが関心を持ち、正しい知識を持つことが安心な暮らしにつながります。

  • 「管理費が高い気がするけど、何に使われているのか不透明…」 
  • 「将来の大規模修繕、計画通りに進むのか不安…」 
  • 「管理会社に連絡しても、なかなか対応してくれない…」

マンション管理への不満は、住民の満足度低下に直接つながります。些細なことと感じても、積み重なると住み心地が悪くなる可能性があるでしょう。

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