マンションは管理を買う

分譲マンション数は昭和の時代、高度成長期から一貫して増加してきました。景気が右肩上がりの時代は国民の所得も上がり続けていたため、マンションは一軒家へ引っ越すまでの仮住まいという考えの方が多かったのも事実です。マンション購入者の多くが「古く・狭くなったら新しく、広いところへ引っ越せば良い」という感覚で、住み心地は「買いかえてより良くする」方法を採ってきました、また、資産価値は「土地神話で黙ってても上がる」時代が続きました。

しかし、バブルが弾け、デフレ、少子超高齢化社会、人口減少社会を迎えた平成の時代に入り、様相が変わり始めます。マンションでの暮らしは「仮住まい」から「終の棲家」に足るものへと人々の意識が移り変わりました。長く住み続け、資産価値を維持・向上することが重要になり、「マンションは管理を買え」という言葉が出始めました。

「管理を買え」の「管理」に問われているのは「マンションを買ってから将来にわたり、『住まい』として住み心地の良さが守られるか」そして「『資産(不動産)』として価値が守られ、向上させられるか」です。

管理を実行するための団体が管理組合ですから、「管理を買え」とは「管理組合を買え」、つまり「区分所有者団体の【運営力やチームワーク】に伴う成果や将来性を買え」ということなのです。 元来、不動産の価値は「土地(立地)」と「建物(の状態)」に需給バランスが重なって決まるものですが、分譲マンションの価値はこれらに加え「管理の質」「管理組合の運営力」によって決まることを話してきました。100世帯のマンションの一部屋を購入すれば、部屋以外の部分の価値向上については自分以外の99名の区分所有者と運命共同体になります。マンションという買い物は、建物としての「ハード」要素のみでなく、「ソフト」の要素も含んだ買い物なのです。

「マンションは管理を買え」は、マンションを購入した後には「マンションは管理を売れ」に変わります。購入して自分の所有物になった瞬間に、買主から売主へと立場が逆転するためです。

都心部や一部の地方を除き、人口減少が全国的な現象となり、地方から空き家が増えていく時代となりました。今後も人口減少が止まらないことは確実で、「住み心地の悪い」「資産価値の守られない」マンションの価値が下がる時代になっています。

逆に、適切に管理されたマンションは、同じ立地や築年数の近隣マンションに比べて差別化できる時代になってきました。区分所有者同士がチームワークをもってマンションの将来を語り合い、一つずつ実行に移すことで、マンションの資産価値を高めていく。結果、高く売れる可能性がある。

まさに「マンションは管理を売れ」の時代なのです。