機能する管理組合

適切に「管理」されたマンションは、区分所有者同士がチームワークをもってマンションの将来を語り合い、一つずつ実行に移すことで、マンションの資産価値を高め、同じ立地や築年数の近隣マンションに比べて差別化できる時代になってきました。

法律上、マンションを購入すると自動的にそのマンションの「管理組合の一員」となり、管理組合の執行部である理事が順番に回ってきます。ところが、ほとんどの購入者にとって理事業務は「義務で、かつ奉仕活動」といった印象を持っている方が多いようです。休日が会合で潰れてしまう、仕事を押し付けられるかもしれない・・・と、ネガティブに捉える方がほとんどではないでしょうか。

しかし、この考え方は少しずつ変わりつつあります。理事業務を「義務」から「権利」へ、「ボランティアで仕方なく」から「自分、家族、仲間やマンションのために楽しく」とポジティブに捉え、積極的な運営を行う管理組合が増えているのです。
                               これまで、マンションの管理・運営は「面倒なもの」と考えられがちだったため、「管理会社や一部の熱心な区分所有者がやってくれるもの」という考え方も定着していました。いわゆる「お任せ管理」です。しかし、最近は住民が主体となって管理を行う「みんなで運営」のスタイルが増え始めています。

では、なぜ「みんなで運営」スタイルのマンションが増えてきたのでしょうか。

一つは、マンションにおける永住志向です。長く住むなら少しでも住み心地良い環境を守りたい、という気持ちになる方が増えることになります。

二つ目は、日本人のライフスタイルと「コミュニティ」に対する意識の変化です。一昔前のマンション管理組合は、いわゆるムラ社会の典型で良くも悪くも「所属する組織・決められたルールの中に組み込まれる」受動的なコミュニティでしたが、いまは「個人の自由や自発的な意思が尊重され、一定のルールのもとで自分たちにあった運用ができる」「絆を大切に積極的に関わることができる」という能動的なコミュニティを作ることができるようになりました。そして、インターネットのおかげでこれらの考え方が普及・拡散されることで「みんなで運営」が徐々に広まっているのです。

マンションのコミュニティは、一昔前の「義務・受動的・表面的な人間関係」から「権利・能動的・より本質的な人間関係」へと徐々に変わりつつあります。そこには「人」の想いが必要です。区分所有者が理事を引き受けるときに、「住まいを気持ちよく使いたい」「資産価値を守りたい」という気持ちです。

さらに理事会には「マンション内で仲間に巡り会えるチャンス」くらいの気持ちで気楽に参加し、楽しく取り組む人が増えることで、「理事会」が「チーム」になり、管理会社やコンサルタントの助力を得て、マンションのあらゆる課題が能動的に解決されるようになります。

そして大切なことは、マンションによって運営の考え方や方法はさまざまで良い、ということです。

マンションの特色は、そこに住む人たちの集まり、つまり管理組合(理事会)によって作られます。区分所有者一人ひとりが楽しく運営に携わり、理事会としてのチーム力を高めることで、立地や築年数以外の「ソフト面」(長い目で見て心地よい場所であるかどうか)で生活の質が向上し、一層の資産価値向上に繋がります。