「老朽化マンション」は築年数が経過し、劣化の進んだマンションのこと
「マンションの老朽化ってどんな不具合があるのかな」
「老朽化マンションの対策が知りたい」
「マンションに寿命ってあるのか」
などとお考えではありませんか?
老朽化マンションとは、老朽化マンションとは、建物や設備が経年劣化して資産価値が落ちたマンションのことです。
本記事では、老朽化マンションの概要と併せて、老朽化マンションの対策や老朽化マンションを高く売却する方法を解説します。
最後まで読むと、マンションの老朽化によって起きる問題の対策がわかります。
この記事の監修者
株式会社デュアルタップコミュニティ 代表取締役社長
池田 秀人
2017年6月株式会社デュアルタップ入社、2017年10月株式会社デュアルタップコミュニティ設立(取締役就任)、2018年7月株式会社建物管理サービスの株式取得し、完全子会社へ(取締役就任)、2019年7月専務取締役に就任、2020年7月代表取締役に就任~現在に至る
所有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
目次
老朽化マンションとは
老朽化マンションとは、建物や設備が経年劣化して資産価値が落ちたマンションのことです。
一般的に築30~40年以上の物件を指します。
都市部へ流入した人たちの住まいとして1970年以降に大量供給された建物が近年問題になっています。
建物倒壊などの危険があるだけでなく、町の景観を悪くし地域経済を下押しする要因にもなります。
参考:日本経済新聞「老朽マンションとは 景観悪化で地域経済にも悪影響」
マンションの老朽化の現状
日本において、老朽化が進行しているのは社会インフラだけではありません。
戦後一貫して都市化が進み、1970年代以降は、都市部へ流入した人口の居住場所となるマンションが大量に供給されました。
今後は、このようなマンションの多くにおいて、築後長い年月が経過したことに伴い、大がかりな修繕や改修が必要になります。
マンションの寿命
マンション(鉄筋コンクリート)の法定耐用年数は、47年と定められています。
これは毎年減価償却していき、最終的に償却がゼロになるのが47年ということです。
耐用年数を超えると性能が落ちるように思われがちですが、耐用年数=寿命ではありません。
鉄筋コンクリート以外の住宅用の耐用年数表は以下のとおりです。
構造・用途 | 耐用年数 |
木造・合成樹脂造 | 22 |
木骨モルタル造 | 20 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38 |
金属造 | 19〜34(大きさによって変動する) |
マンションの老朽化によって起きる問題5選
マンションの老朽化によって起きる問題は以下のとおりです。
- 不具合が発生する
- 修繕積立金の値上げ
- 安全面の不安
- 資産価値の低下
- マンションから人が出ていく
順番に解説します。
【問題①】不具合が発生する
マンションの設備は、年々少しずつ劣化していき、劣化のサインは至るところに現れます。
例として、古いコンクリートにひびが入り、そのまま放置しておくと、「雨漏り」の発生リスクが高まります。
日頃から確認できないため、気が付きにくいのが「配管の老朽化」です。
排水管が古くなると、排水が詰まり、排水の機能に問題が出てきます。
老朽化に気が付いたときには、高額のコストをかけて修理する必要があります。
上記のように不具合が発生するのが老朽化マンションの問題点です。
【問題②】修繕積立金の値上げ
基本的に、どのマンションでも、年月が経過するとともに修繕に係る費用は上昇します。
修繕積立金を上げると、居住者の負担が増えてしまい、居住者が離れてしまうケースがあります。
老朽化マンションは、修繕積立金の不足により、区分所有者の負担割合が多くなっている可能性が高いでしょう。
【問題③】安全面の不安
日本に住んでいると、建物の耐震性能について常に意識することが重要です。
現行の建築基準法における耐震規定は、1981年に改正されたものが基準となっています。
このため、1981年以前に建設されたマンションは、震度5弱の地震まで耐えうる「旧耐震基準」に基づいて設計されているのが一般的です。
さらに、年数が経過したマンションの問題点は、単に老朽化によるものだけではありません。
震度6から7の地震に耐えられる設計が施されていないため、大きな地震が発生した際には、その建物の安全性を保証することは難しいのです。
関連記事:マンションの耐用年数は47年!寿命を迎えたマンションの対処法も解説
【問題④】資産価値の低下
マンションの価値は、建築された時がピークであり、一般的には建てられてから約10年が経過すると、その価値は大幅に減少し、元の価格の約3分の2まで下落することが多いです。
最近では、東京オリンピックや経済の回復傾向などの影響で、若い層の間で新築マンションへの関心が高まっているという報告もあります。
不動産であるマンションの価値が完全になくなることはありませんが、30年以上経過した物件の場合、特別なメンテナンスや老朽化対策を施していなければ、価値を維持するのは難しいのが実情です。
【問題⑤】マンションから人が出ていく
マンションが老朽化し、安全上の問題が生じると、居住者が引っ越しを始めることが一般的です。
その結果、退去した部分の新しい住人を見つけることが難しくなり、特に状態が悪いマンションに住みたいと思う人は少ないでしょう。
年代が古いマンションでは、所有者が他の場所に住み、そのマンションを賃貸用としているケースがよくあります。
このような状況で入居者が集まらない場合、これらの所有者にとっては家賃収入の機会損失となります。
さらに、管理組合にとっても、空き部屋が増えることは収入源である駐車場利用料などの減少を意味するため、経済的な影響が生じる可能性があります。
老朽化マンションの対策
老朽化マンションの対策は以下のとおりです。
- 修繕・改良・改修
- 建替え
- 敷地の売却
順番に解説します。
【老朽化マンションの対策①】修繕・改良・改修
国土交通省の「マンション再生のための改修手法マニュアル」によると、建物のメンテナンス作業には「修繕」「改良」「改修」という異なるカテゴリが存在します。
「修繕」とは、建物や設備の破損や老朽化した部分を修理または交換し、その建物や部分の機能を通常の使用に差し支えないレベルまで回復させる作業です。
目的は、通常、建物の元の状態に戻すことにあります。
一方で「改良」は、建物の機能や性能を元のレベルを超えて向上させる工事を指します。
そして「改修」は、修繕と改良の作業を組み合わせて、建物全体の性能を全体的に向上させる工事を意味します。
たとえば、壊れたタイルの交換や外壁の塗装は「修繕」、手動ドアを自動ドアに置き換えるのは「改良」、そしてエレベーターやスロープの設置のように建物全体の機能を向上させる工事は「改修」となります。
参考:国土交通省「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」
【老朽化マンションの対策②】建替え
2003年6月の区分所有法の改正により、区分所有者の5分の4以上が同意すれば、マンションの建て替えが可能になりました。
しかし、実際にはこのプロセスは非常に複雑で、実際に建て替えが行われる例は少ないです。
主な障害として、建て替えに必要な費用が非常に高額になることが挙げられます。
【老朽化マンションの対策③】敷地の売却
マンションの敷地を一括して売却する際には、「マンション敷地売却制度」を利用することが可能です。
ただし、この制度を利用するためには、いくつかの厳格な条件を満たす必要があります。
これには、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」に基づいた耐震性不足の認定を特定の行政機関から受けること、さらに区分所有者の5分の4以上の多数の同意を得ることが含まれます。
これらの条件は、マンションの売却プロセスを複雑にしています。
関連記事:【9割が知らない】マンション建て替えの時期とは|流れについても解説
老朽化したマンションは売却できるのか
たとえ老朽化しているマンションでも、立地が良ければ売却の可能性は高くなります。
たとえば、東京都内の港区、中央区、渋谷区といった都心部の物件は、その場所の人気の高さから、売却しやすい傾向にあります。
ただし、老朽化の程度や販売価格にも依存します。築年数が長いにも関わらず価格が高すぎる物件は、潜在的な購入者に疑念を抱かせる可能性があります。
売却ではなく買取という方法
不動産を売却する際の標準的な方法は、直接買主と交渉するのではなく、不動産会社を介して行うことです。
この場合、取引が成立した際には仲介手数料が発生します。
しかし、マンションの売却には別のアプローチも存在します。
その一つが「買取」です。この方法では、個人ではなく不動産会社自身がマンションを直接買い取るため、仲介手数料は不要です。
特に老朽化したマンションの場合、リノベーションを前提にしていることが多く、状態に関わらず買い取りを受け入れる可能性が高まります。
また、仲介を通じた売却の際に必要な内覧などの手間が省けます。
この方法は、速やかにマンションを手放したい方に適しています。
ただし、仲介を通じた売却に比べて価格が低くなる傾向があり、また全ての不動産が買取の対象となるわけではないため、より高値での売却を望む場合は仲介を利用した方が良いでしょう。
老朽化マンションを高く売却する方法
老朽化マンションを高く売却する方法は以下のとおりです。
- 修繕を行う
- ハウスクリーニングをする
順番に解説します。
修繕を行う
買い手の内覧前には、購入者にとってマイナスとなる要素を事前に修繕することが重要です。
たとえば、床のキズや壁紙の剥がれなどは、予め綺麗にしておくべきです。
しかし、部屋の全体的なイメージを変える大規模なリノベーションは、購入者の好みに必ずしも合わないため、行う必要はありません。
重要なのは、購入者の視点に立って考えることです。
ハウスクリーニングをする
水回りなどの清潔感が特に重要なエリアや、自分では取り除けない頑固な汚れがある場合は、プロのハウスクリーニングサービスを利用することをおすすめします。
これは、特に築年数が経過したマンションにおいて重要で、日頃の掃除では気付かない汚れもプロの手によって落とされ、清潔感のある印象を与えられます。
ハウスクリーニングには費用がかかりますが、これはマンションの価値を高め、購入者に良い印象を与えるための投資と言えます。
築40年マンションを購入するデメリット
築40年マンションを購入するデメリットは以下のとおりです。
- 老朽化が進んでいる
- 耐震性に不安がある
- 管理費・修繕積立金が高い
- 住宅ローンが通りにくい
順番に解説します。
老朽化が進んでいる
中古マンションを購入する際、築40年の建物では構造的な老朽化に特に注意が必要です。
リノベーションにより居室が新築のように見える場合もありますが、大規模な修繕が未実施であることが少なくありません。
美しい内装に魅力を感じて購入するものの、実際には水道管の漏れといった問題が発生することがあり、購入後に後悔するケースが多いです。
物件の共用部分の状態も重要で、外壁のヒビ割れなど、適切なメンテナンスが行われていないサインには特に注意が必要です。
内覧時には、これらの兆候を見逃さず、修繕が適切に行われているかどうかを確認することが、賢明な選択につながります。
関連記事:築60年のマンションは住めるのか?購入するメリット・デメリットを解説
耐震性に不安がある
築40年程度のマンションが、旧耐震基準で建設されている可能性が高いことを把握しておくことは重要です。
旧耐震基準とは、1981年5月以前に策定された基準で、震度5程度の地震に耐えうる設計がなされています。
対照的に、1981年以降に設計された建物は新耐震基準に基づいており、震度7の強い地震にも耐える構造となっています。
築40年のマンションを購入する場合、その建物が新耐震基準に適合しているかどうかを事前に確認することが極めて重要です。
新耐震基準に準拠しているかの確認は、安全な住環境を確保するために不可欠なステップです。
管理費・修繕積立金が高い
購入を検討している中古マンションが築40年以上の場合、管理費や修繕積立金が高くなる傾向にあります。
特に、総戸数が少ない小規模なマンションでは、1戸当たりの修繕費の負担が増え、維持費が高額になることが多いです。
多くの購入者は物件の価格を重視して選ぶことが一般的ですが、管理費や修繕積立金の違いにより、毎月の出費に大きな差が生じることもあります。
そのため、物件の購入価格だけでなく、毎月のローン返済額と併せて管理費や修繕積立金も考慮し、総額で比較することが賢明です。
これにより長期的なコストを理解し、予期せぬ費用に驚かされることなく、安心して物件を選ぶことができます。
住宅ローンが通りにくい
築40年の中古マンションを購入する際には、新築物件と比較して金融機関のローン審査が厳しくなることがあります。
これは、中古マンション購入時には、物件自体の価値が担保の評価に大きく影響するためです。
特に、建物の築年数や立地条件が審査の重要な要素となり、慎重な評価が求められます。
さらに、中古マンションの場合、ローンの条件を満たせないために資金調達が困難になる、希望する金額を借り入れられないといった問題に直面することもあります。
そのため、購入前には金融機関の審査基準を理解し、適切な準備を行うことが必要です。
これにより、購入がスムーズに進むようになります。
まとめ【マンションの老朽化によって起きる問題を理解しましょう】
今回は、マンションの老朽化によって起きる問題と併せて、老朽化マンションの対策や老朽化マンションを高く売却する方法を解説しました。
マンションの老朽化によって起きる問題は以下のとおりです。
- 不具合が発生する
- 修繕積立金の値上げ
- 安全面の不安
- 資産価値の低下
- マンションから人が出ていく
事前に把握して対策を練りましょう。
「マンション管理会社変更したいけど、やり方がわかんない……」
「今のマンション管理会社に不満がある……」
こういった悩みはありませんか?大切なことなので慎重になり、なかなか自分では動けませんよね。
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