【マンション大規模修繕工事】トラブル防止のために配慮すべきこと6選
マンションの修繕工事中に起こるトラブルに直面したことはありませんか?
クレーム、施工不良など、さまざまな問題に頭を悩ませることでしょう。
この記事では、そんなトラブルを未然に防ぐ方法や、万が一発生した際の対処法を詳しく解説します。
あなたがこの記事を読むことで得られるのは、トラブルに巻き込まれず、スムーズに修繕工事を進行させるための具体的な知識とスキルです。
事前にリスクを把握し、適切な業者選び、明確なコミュニケーション方法を学び、工事期間中の不安を軽減することができます。
さらに、万一のトラブルにも冷静かつ効果的に対処できる準備が整います。
これから修繕工事を控えるあなたにとって、読む価値のある内容です。
この記事の監修者
株式会社デュアルタップコミュニティ 代表取締役社長
池田 秀人
2017年6月株式会社デュアルタップ入社、2017年10月株式会社デュアルタップコミュニティ設立(取締役就任)、2018年7月株式会社建物管理サービスの株式取得し、完全子会社へ(取締役就任)、2019年7月専務取締役に就任、2020年7月代表取締役に就任~現在に至る
所有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
目次
マンションの大規模修繕工事とは
建物の寿命を延ばし、快適な居住環境を保持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
特に分譲マンションでは、共用部分の維持管理が住民全体の利益に直結するため、管理組合が中心となって修繕計画を策定・実行します。
大規模修繕工事は、建築基準法に準拠して建設されたマンションにおいても、時間の経過に伴う劣化を防ぐために不可避です。
これには、外壁の補修や防水処理、シーリングの更新、鉄部の塗り替え、給排水設備の更新などが含まれ、主にマンションの共用部分に対して行われます。
これらの工事は、建物を長期にわたって安全かつ快適に維持するために、計画的におこなう必要があります。
高いコストと長い工期を要するため、事前の計画と住民間のコミュニケーションが成功の鍵となります。
関連記事:マンションの大規模修繕工事とは?修繕積立金が不足している場合の対応も紹介
【マンション大規模修繕工事】トラブル防止のために配慮すべきこと6選
マンションの大規模修繕工事で配慮すべきこと6選は以下のとおりです。
- 防犯対策
- 保険への加入
- 施工業者の選択
- コンサルタントの選定
- 大規模修繕委員会の結成
- 関係者とコミュニケーションをとる
順番に解説します。
防犯対策
マンションの大規模修繕工事に伴って発生する犯罪を、未然に防ぐために対策が必要です。
具体的な対策は以下のとおりです。
- 金網の設置
- 防犯カメラの導入
- センサーライトの導入
- 警備員を雇う
修繕期間中にマンションの安全を確保するため、セキュリティ対策の強化が必要です。
多くの作業員が出入りすることで生じるセキュリティリスクに対処するため、防犯カメラの設置やセンサーライト、警報システムの導入が推奨されます。
これらの対策は、特に夜間の不審者の侵入を防ぐ効果があります。
さらに、外壁の補修作業に伴い設置される足場が、空き巣や不審者による室内侵入の手段となることを防ぐため、養生シートは透過性の低いものを使用して隠れ場所を無くすことが重要です。
また、住民自身によるセキュリティ意識の向上、具体的には鍵のかけ忘れがないように戸締りを徹底することも、安全対策の一環として強く推奨されます。
保険への加入
大規模なマンション修繕工事を行う際、工事後に発生する可能性のある問題に備えて、瑕疵保険への加入が一般的です。
この保険は、工事完了後に修繕箇所に不具合が見つかった場合に補償を提供します。
国土交通省が指定した特定の保険会社が、住宅瑕疵担保履行法に基づきこの保険を提供しています。
これにより、マンションの所有者や管理組合は、将来的な不具合に対して保護され、安心して大規模修繕工事を進められます。
施工業者の選択
マンションの大規模修繕工事を依頼できる業者は以下のとおりです。
- ゼネコン(総合建設業者)
- マンションの大規模修繕の専門業者
- 管理会社
マンション大規模修繕プロジェクトにおいて、予算を守りつつ高品質な施工を確保するためには、中立的な立場を持つ信頼できる施工業者の選定が不可欠です。
利害関係のない第三者として機能する業者を選ぶことで、公平な価格設定と透明性の高いプロセスを期待できます。
談合による不正な価格操作は、業界内で発生しやすい問題の1つです。
これを完全に排除するのは難しいかもしれませんが、公正な競争に基づく業者選定を心がけることで、トラブルのリスクを最小限に抑えられます。
さらに、プロジェクトの成功には、マンション管理組合とのスムーズなコミュニケーションが欠かせません。
そのため、現場監督の人柄やコミュニケーション能力も、選定基準の1つとして考慮するべきです。
長期にわたる修繕工事では、定期的な相談や問題解決のための円滑な対話が必要となります。
コンサルタントの選定
マンションの大修繕プロジェクトにおいて、適切な専門知識を持つコンサルタントの選定は、プロジェクトの成功に不可欠です。
選択肢としては、設計管理方式によるコンサルタントの採用、もしくは責任施工方式で施工業者に全面的に委ねる方法があります。
管理組合が建築のプロフェッショナルではないため、専門的な知識や経験を持つコンサルタントに相談することは、修繕工事の品質を確保する上で大きな助けとなります。
通常、この役割は経験豊富な設計事務所が担います。
しかし、コンサルタントの選定は簡単な作業ではなく、時にはコンサルタントが既存の関係を持つ施工業者を推奨し、不適切な価格設定で工事が進められる可能性もあります。
国土交通省は、このような談合を避け、公正な価格での修繕を促すために、2017年に特別な通知を発行しました。
施工業者への過度な依存を避け、公平な立場から最適なアドバイスを得るためには、業界に精通し、中立的な立場を保つコンサルタントの選定が鍵となります。
大規模修繕委員会の結成
マンションの大修繕計画を進めるにあたり、工事開始前に1.5年から2年の充分な準備期間を設けることが重要です。
この期間内に、適切なメンバーの選出や募集を通じて、大規模修繕に専念する委員会を組織することが推奨されます。
理想としては、大規模修繕委員会はマンションの居住者で構成され、必要に応じてマンション修繕の専門知識を持つアドバイザーが支援を提供します。
居住者が委員会の主要メンバーとなることで、プロジェクトは住民のニーズと期待に沿った方向で進行できます。
居住者だけでなく、修繕プロジェクトに必要な専門的知識や経験を持つ外部の専門家の参加も検討する価値があります。
これにより、プロジェクトのあらゆる側面で質の高い意思決定が可能となり、マンションの価値と居住品質の向上に貢献します。
関係者とコミュニケーションをとる
マンションの大修繕プロセスにおける重要な側面の1つは、プロジェクトに関わる様々な人々とのコミュニケーションです。
マンションの居住者、管理会社、施工業者など、多様なステークホルダー間の関係性と動機を理解し、効果的に対話を行うことが不可欠です。
この相互作用を通じて、各当事者の期待と要求を明確にし、修繕工事を円滑に進められます。
適切なコミュニケーションは、潜在的なトラブルを未然に防ぎ、プロジェクトの成功に不可欠な要素です。
【マンション大規模修繕工事】トラブルと対処法
マンションの大規模修繕工事のトラブルと対処法は以下のとおりです。
- プライバシー侵害への不安によるクレーム
- 施工不良
- 修繕積立金の不足
- ベランダに私物
- 空き巣問題
順番に解説します。
プライバシー侵害への不安によるクレーム
大規模修繕工事中、居住者のプライバシーへの配慮は非常に重要です。
特に、外壁の修繕や塗装作業などで作業員が窓付近で作業する際、室内が外部から見えることへの懸念が生じます。
このような状況を避けるために、事前に工事のスケジュールと作業時間を居住者に明確に通知することが必須です。
住民自身にも、プライバシーを守るための対策を講じることを推奨します。
たとえば、作業時間中はカーテンを閉める、可能であれば外出するなどの方法があります。
また、作業員に対しても、住民のプライバシーを尊重するための適切な指導を行うことが求められます。
室内への不必要な視線を避け、必要な場合には適切な方法で室内に入るように指示することで、プライバシー侵害のリスクを最小限に抑えられます。
施工不良
大規模修繕後に建物に問題が見つかった場合、最初のステップは問題の性質と発生場所を正確に特定することです。
不具合の種類によっては、修繕箇所の耐久性に関連する可能性がありますが、特に修繕後1〜2年以内に発生した問題は、しばしば施工ミスが原因であることが多いです。
このような状況では、修繕工事完了時に施工業者から提供される保証書の条項を再確認し、該当する問題について施工業者に修正を要請することが重要です。
さらに、修繕工事が瑕疵保険の範囲内である場合は、保険の適用を検討することも有効な選択肢となります。
修繕積立金の不足
区分所有者によって月々支払われる修繕積立金は、マンションの大規模修繕工事に必要な財源として重要な役割を果たします。
これらの資金は、管理組合によって策定された長期修繕計画に基づいて計画的に蓄積されます。
この計画には、今後25年から30年にわたる具体的な修繕スケジュールや予算が詳細に記載されており、必要な修繕工事の種類や時期、予算の設定に至るまでが事前に計画されています。
しかし、長期修繕計画の初期段階で見積もりが低く設定されていたり、予見される必要な工事が漏れている場合、実際に修繕工事を開始した際に資金不足に直面するリスクがあります。
そのため、長期修繕計画は定期的な見直しが必須であり、計画の現実性を常にチェックし、修繕積立金の適正な管理を行うことが、将来の大規模修繕工事を円滑に進めるためには欠かせません。
ベランダに私物
マンションの大規模修繕工事に先立ち、居住者へのベランダ上の私物撤去が必要です。
エアコンの室外機を除く、ベランダに保管されている物品は、作業の妨げとなるため、修繕作業前に撤去する必要があります。
にもかかわらず、修繕作業開始時にベランダに私物が残されている事例が頻繁に発生しています。
これは、多くの場合、居住者がベランダの荷物撤去の必要性を忘れてしまっているためです。
作業直前になってから急いで対応しようと思っても、つい忘れてしまうことがあります。
在宅中の居住者には荷物の移動を直接依頼することが可能ですが、不在時には作業が行えず、工事スケジュールの大きな変更や追加費用の発生という問題が生じることがあります。
日々の忙しさの中で、修繕工事の準備に十分な注意を払うのが難しい居住者も多いため、ベランダの清掃や施錠などの協力を求める際には、何度も情報提供を行い、継続的な協力を促すことが重要です。
空き巣問題
外壁修繕工事中に設置される足場は、不幸にも空き巣のリスクを高める要因となることがあります。
このため、マンションの居住者に対して、窓や玄関の施錠の徹底を繰り返し呼びかけることが重要です。
特に、作業が日常化し居住者が安心感を覚え始めた時期が、油断が生じやすく、最も注意が必要です。
修繕工事が完了するまでの間、安全対策の徹底を定期的に促すことで、犯罪を未然に防ぐことが可能になります。
さらに、マンションを覆う養生シートは、不審者にとって隠れ場所となり得るため、透過性の高い養生シートの使用を検討することが望ましいです。
これにより、不審者が隠れるスペースを減らすことができ、居住者の安全を一層強化できます。
関連記事:マンション大規模修繕工事の期間は3ヶ月~8ヶ月|流れや注意点についても解説
【マンション大規模修繕工事】トラブルを未然に防ぐ方法
マンションの大規模修繕工事のトラブルを未然に防ぐ方法は以下のとおりです。
- 居住者へ事前告知をする
- 近隣住民へは事前の挨拶を徹底する
順番に解説します。
居住者へ事前告知をする
大規模修繕工事中や完了後に追加の施工費用が請求されるケースがあります。
通常、工事開始前には専門家による外観のチェックが行われますが、内部の配管や給水ポンプのような隠れた故障は初期の段階では見えにくいものです。
実際に工事が進む中で、これらの隠れた問題が発見されることがあり、その結果、当初の見積もりにはなかった追加工事が必要になることがあります。
このような状況に備えて、あらかじめ余裕を持った予算計画を立てておくことが重要です。
追加で請求が発生した際には、その工事が本当に必要なものなのか慎重に検討する必要があります。
時には見積もりにない、不必要な工事が含まれていることもあるため、契約時の見積もり内容と照らし合わせ、不要な工事には支払いを拒否する権利があります。
近隣住民へは事前の挨拶を徹底する
工事が始まる前には、周辺住民への事前の挨拶と通知が非常に重要です。
工事のスケジュールや実施内容を詳細に説明することはもちろん、騒音や臭気などの不便を伴う可能性があることについても、特に注意を払って丁寧に伝えることが重要です。
また、工事に関する質問や懸念事項に対応するための連絡先を提供することは、住民との間の誤解や不満を防ぐ上で有効です。
誠実な対応は、工事開始の段階で良好な関係を築くための鍵となります。
工事車両の管理にも注意が必要で、無断で近隣道路に駐車することがトラブルの原因になり得ます。
工事車両が周辺の通行に支障をきたさないよう、マンション敷地内に適切な駐車スペースを確保することが望まれます。
【マンション大規模修繕工事】施工中に注意すべきトラブル
マンションの大規模修繕工事の施工中に注意すべきトラブルは以下のとおりです。
- 工事の音、振動、臭い、ほこりなど
- しっかりと防犯対策をする
- 危険な場所へ近づかない
順番に解説します。
工事の音、振動、臭い、ほこりなど
大規模修繕工事が進行する際には、建物を取り囲む足場の設置や、多数の工事関連車両、作業員の出入りが避けられません。
修繕作業が本格化すると、機械の稼働音やコンクリートの加工音、振動、ほこりの発生、塗装作業に伴う臭いなどが生じることがあります。
また、作業の性質によっては、バルコニーの使用制限や洗濯物の外干し自粛をお願いする場合もあります。
作業員は居住者の皆様の日常生活に配慮し、できる限り影響を最小限に留めるよう心掛けておりますが、工事期間中のご理解とご協力が不可欠です。
しっかりと防犯対策をする
工事が行われている間、特に多くの作業員がマンション内外を行き来します。
彼らは通常、識別しやすいよう腕章や特別なベストを着用しています。
それでも、この期間中は不審者に対する警戒心を高め、常に玄関や窓の施錠を確実に行うことが重要です。
工事中、特にバルコニー側では足場が組まれるため、外部の人物が足場を通じて建物内へ侵入するリスクが高まります。
施工業者はこのようなリスクを避けるために様々な予防措置を講じていますが、居住者自身もバルコニーの窓の施錠には一層の注意を払う必要があります。
また、施工業者から提供される補助鍵などの防犯用品を積極的に利用することで、さらなる安全対策を講じられます。
危険な場所へ近づかない
工事現場には危険な機材や資材が溢れており、適切な管理と使用が求められます。
特に作業エリアや立入禁止区域は、看板やテープ、カラーコーンで明確に示されていますので、これらの区域には立ち入らないよう注意しましょう。
子供たちは普段見慣れない足場や大型車両に強い好奇心を抱くため、特に注意が必要です。
この点を踏まえ、一部の管理組合では、施工業者と協力して子供向けの工事説明会を開催し、工事の重要性や安全に関する知識を提供しています。
これにより、子供たちが工事現場の危険性を理解し、安全に対する意識を高められます。
また、家庭での対話を通じて、工事現場のリスクについて話し合うことも、事故を防ぐための効果的な方法です。
マンションの大規模修繕をしないリスク
マンションの大規模修繕をしないリスクは以下のとおりです。
- 安全性が下がる
- 事故のリスクが高まる
- 快適な生活ができない
順番に解説します。
安全性が下がる
マンションの外壁は経年とともに劣化していきます。
塗装が剥がれて、コンクリートにヒビが入ると、そこから雨水が浸水してしまいます。
浸水すると、内部の鉄骨がサビて、建物の強度が低下します。
地震や台風などの自然災害に弱くなり、居住者の安全が脅かされることになります。
事故のリスクが高まる
マンションの劣化がひどくなると、外壁のコンクリートやタイルが剥がれ落ち、居住者や通行人を巻き込んだ大事故になる可能性があります。
仮に、高層階のタイルが剥がれて、人の頭上に落下したら、命に関わる大事故にもなりかねません。
ベランダの手すりの劣化も大変危険です。
手すりが錆びて劣化している状態で、手すりにもたれたら、その瞬間に壊れて、転倒してしまう恐れがあります。
必要な修繕をしないで事故が起きた場合は、管理組合の責任が問われ、多額の損害賠償を請求されることもあります。
快適な生活ができない
外壁や天井に汚れ・錆びが発生し、外観が悪くなると、居住者は快適に暮らせないでしょう。
雨漏りが起きたり、排水管の詰まりによって排水が逆流したりすれば、生活に支障が出ます。
水道から赤水が出るようになると、健康に害を及ぼします。
マンションの大規模修繕工事の周期
一般的には、12~15年周期だといわれています。
国土交通省が発表している「長期修繕計画作成ガイドライン」で示されていることが理由の1つです。
しかし、厳密には大規模修繕工事を実施する時期や回数に決まりはありません。
マンションの劣化状況に応じて、管理組合が主導して実施するかどうかを判断します。
近年は、優秀な材料も増えています。
たとえば、大規模修繕工事の際に耐久性や防汚効果に優れた製品を使用したとします。
そうすることで、次回の修繕までの周期を15年・18年と延ばせられます。
修繕費用を抑える工夫を検討するマンションも増えています。
まとめ【マンション大規模修繕工事のトラブルを未然に防ぎましょう】
今回は、マンションの大規模修繕工事のトラブルと対処法と併せて、トラブルを未然に防ぐ方法を解説しました。
マンションの大規模修繕工事のトラブルは以下のとおりです。
- プライバシー侵害への不安によるクレーム
- 施工不良
- 修繕積立金の不足
- ベランダに私物
- 空き巣問題
- 工事費用の追加請求
それぞれ確認して、未然に防ぎましょう。
「マンション管理会社変更したいけど、やり方がわかんない……」
「今のマンション管理会社に不満がある……」
こういった悩みはありませんか?大切なことなので慎重になり、なかなか自分では動けませんよね。
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