【保存版】マンション管理組合の変更手順|7ステップでわかりやすく解説
マンションの管理会社を変更するとき、どのような手順が必要か、またその変更がもたらすメリットは何かについて疑問ではありませんか?
この記事は、多くの住人が直面する「管理会社が思うように働いてくれない」という問題からの脱却方法を具体的に解説します。
管理会社を変えることで、より快適なマンションライフを手に入れるための第一歩を踏み出しましょう。
この記事が、あなたとあなたのマンションに新たな変化をもたらす一助となることを願っています。

この記事の監修者
株式会社デュアルタップコミュニティ 代表取締役社長
池田 秀人
2017年6月株式会社デュアルタップ入社、2017年10月株式会社デュアルタップコミュニティ設立(取締役就任)、2018年7月株式会社建物管理サービスの株式取得し、完全子会社へ(取締役就任)、2019年7月専務取締役に就任、2020年7月代表取締役に就任~現在に至る
所有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
目次
マンション管理会社の変更の手順

マンション管理会社の変更の手順は以下のとおりです。
- マンション管理会社の問題点を洗い出す
- マンション管理会社を選ぶ
- マンション管理会社のプレゼンを受ける
- 契約内容を確認する
- 総会でマンション管理会社の変更を決議する
- 現在のマンション管理会社に解約の旨を伝える
- 新旧の管理会社で引き継ぎを行う
順番に解説します。
マンション管理会社の問題点を洗い出す
現行のマンション管理業者に関連する課題を特定することから始めましょう。
- 遅延した対応
- 過剰な管理委託料
- そして不適切なメンテナンス作業
これらは、住民が通常抱く不満の一部です。
問題点を整理する際には、一部の住民や理事会のみの意見に頼るのではなく、多くの区分所有者からフィードバックを求めることが重要です。
フィードバックの収集により、予期せぬ課題が明らかになることもあり、同時に住民の関心も高まります。
課題の抽出は、新しい管理会社の選定基準を設定する上で不可欠なプロセスとなります。
意見を取り入れ、現在の管理状況に存在する具体的な問題点を明確にしましょう。
現マンション管理会社への交渉

「改善交渉!マンション管理会社変更以外の選択肢」の項目で詳しくご紹介しますが、マンション管理会社を変更する前に、一度現在契約している管理会社との交渉をおこなうのも大切です。
切替費や周知の手間を減らし、いまの体制のまま質を上げられるためです。
まだ交渉していない場合はここからスタートします。
マンション管理会社を選ぶ
新規のマンション管理会社を選定する際には、条件を満たす複数の業者、具体的には4〜5社を選び、それぞれから見積もりを取得することが重要です。
比較分析を容易にするために、現在の管理サービスレベルに相当するサービス内容で見積もりを依頼しましょう。
管理会社の選択肢には、業界の大手企業から独立した中小企業まで幅広く存在します。
大企業が必ずしも最適とは限らないように、中小企業が常にコスト効率が良いとは限りません。
そのため、先入観に囚われずに、複数の管理会社の提案内容とコストを慎重に比較し、お持ちのマンションに最適な選択をすることが大切です。
マンション管理会社のプレゼンを受ける
次のステップとして、絞り込んだ候補企業からプレゼンテーションを受けることが重要です。
プレゼンテーションは通常、理事会で実施されますが、理事だけでなく、一般の住民に向けた住民説明会も開催することをおすすめします。
各候補企業にはプレゼンテーションのための所定の時間を設け、その後質問と回答の時間でセッションを締めくくるのが、一般的なアプローチです。
また、将来的にマンションを日々管理することになる管理人の性格や人柄を事前に把握しておくことも、管理業務がスムーズに進むための鍵となります。
プレゼンテーションや住民説明会が終了した後は、全住戸に対してどの管理会社が最も適していると思われるかについてアンケートを実施しましょう。
その結果をもとに最終的な選定を行うことが望ましいです。
契約内容を確認する
新しい管理会社との契約を締結する際には、契約書の内容を慎重に確認することが不可欠です。
以下のキーポイントを念頭に置いて、契約の詳細を精査しましょう。
- 契約解除条件や損害賠償の条項が明確に記述されているか
- 解約通知期間が合理的であるか
- 管理費の未払いに対する督促期間が適切であるか
- 緊急事態に対応する管理業務がマンションの地理的環境に適しているか
管理組合が管理会社と契約を交わす過程では、最初に重要事項説明書を作成し、これを基にして管理委託契約書を締結します。
この契約書は、一般的に国土交通省のマンション標準管理委託契約書を参照しつつ、必要に応じて追加や修正を加えて作成されます。
マンション標準管理委託契約書は、公正な契約を促進するためのガイドラインとして機能します。
実際の契約書作成時には、追記や修正部分が管理組合に不利益をもたらさないよう、細心の注意を払って確認することが重要です。
総会でマンション管理会社の変更を決議する
契約内容のレビューを完了した後は、管理会社の変更を正式に決定するためにマンションの定期総会での決議が必要です。
総会を開く前に、新しい管理契約の詳細を住民に周知するための説明会を開催するか、情報を文書で配布することが望ましいです。
一般的に、マンションの定期総会は年1回開催されます。
多くの議題がある場合や、特定の事項を迅速に決定する必要がある場合は、臨時の総会を開催することを検討してください。
総会での決議にあたっては、通常新しい管理会社から決議の前に重要事項説明会が開催されますので、総会時にも同席してもらうのが良いでしょう。
出席者の中で規定された賛成票が得られれば、正式に管理会社を変更することが可能になります。
現在のマンション管理会社に解約の旨を伝える
住民の同意を得て新規管理会社への切り替えが承認された場合、現行の管理会社宛に正式な解約通知を送ることが次のステップです。
この通知は、解約希望日の少なくとも3カ月前には発送するのが基本です。
ただし、管理組合と現在の管理会社との契約に特別な条項が含まれている場合があるため、契約書を確認し、解約通知の締め切りが定められているかを再確認することが重要です。
解約通知は重要な文書であるため、確実性を高めるために簡易書留ではなく、一般書留での発送を推奨します。
一般書留を利用することで、受け取りから配送までの全過程が記録され、もしもの場合には実際の損失額に対する補償が受けられる利点があります。
新旧の管理会社で引き継ぎを行う
現行の管理会社から解約通知の受領が確認された後は、新たな管理会社に対して業務の引継ぎを実施します。
引継ぎプロセスは、誤りが生じないように、理事会メンバーの監督のもとで進めることが推奨されます。
引き継ぎ対象となる主要なアイテムには、重要な公文書や共用スペースの鍵といった備品が含まれます。
特に重要な文書としては、下記のようなものがあります。
- 管理規定および利用細則
- 理事会や総会の議事録
- 修繕歴が記載された文書
- 竣工図面や設計図書
- マンション販売時の資料やパンフレット
共用エリアの鍵については、各鍵がどの施設に対応するものかを正確に把握しながら引継ぎを行う必要があります。
通常、鍵は予備を含め複数存在することが多いため、正確な本数の確認も欠かせません。
文書や鍵の引継ぎだけでなく、現在理事会で検討中の事項も重要な引継ぎ内容です。
新しい管理会社の担当者に理事会への参加を依頼するなどして、議題を共有することが重要です。
管理費の支払い口座の変更がある場合には全ての区分所有者に対して適切に通知する必要があります。
関連記事:マンション管理組合のトラブル解決方法3選|外部の相談窓口もご紹介
マンションの管理会社変更の要件

管理会社変更は、手順より先に「決め方のルール」を押さえておくと迷いません。
以下の3点を確認し、総会に向けて準備を進めましょう。
- 普通決議の要件
- 標準管理規約での位置づけ
- 管理委託契約の中途解約条項・違約金
具体的にどういうことか、それぞれ詳しくお伝えします。
普通決議の要件
普通決議の要件は出席組合員数の議決権の過半数です。
これは、持分の重さと人数の両方で合意をとるためであると言えます。
出席者・書面票・委任状を名簿とつき合わせて数えます。
例えば、総戸数100、議決権総数半数以上(計50)で、出席40・議決権行使書10・委任10なら計50で審議ができる状態です。
この場合、賛成が31以上で可決となります。
委任状は受任者を明記し、議案ごとの賛否を記載する必要があります。
参加率が低い時は、期日前で委任を集める、掲示やポスティングで再通知を出したり、オンライン出席や書面票を用意する、などで底上げをねらいましょう。
ルールを先に周知し、当日の集計を二重確認すれば、決議のやり直しを防げます。
標準管理規約での位置づけ
標準管理規約では、管理会社の選定・契約・解約は総会で決める規定となっています。
理事会は、仕様整理、見積り依頼、候補の比較、契約案の作成、総会付議、契約後の監督を担うものです。
線引きのねらいは、費用とサービス水準に直結する判断は、組合全体の意思で決めるためと言えるでしょう。
総会で示す資料は、委託範囲、契約金額、開始日、解約条件などになります。
ただし、金額や契約条項に影響が出る改定は総会へ出しましょう。
準備は理事会、最終決定は総会です。
管理委託契約の中途解約条項・違約金をチェック
管理委託契約の中途解約条項・違約金を必ず確認しましょう。
解約条件を外すと余計な費用発生や開始日の遅延につながってしまいます。
- 契約期間・自動更新の有無、更新サイクル
- 中途解約の通知期限(例:3か月前通知)
- 違約金や残期間相当額の精算方法
- 返還物の範囲(通帳・印鑑・ID、会計データ、台帳、鍵、契約書)
- 警備・保守など個別契約の扱い(承継か個別解約か)
更新月が4月で通知期限が3か月なら、1月末までに解約通知書を内容証明で発送し、同時にデータ返還仕様と引継ぎ一覧を提示します。
マンションの管理会社を変更する際にかかる時間

マンション管理会社を変更するまでにかかる時間は、3~12か月です。
この項目では、変更までにかかる時間について詳しくご紹介します。
一般的な所要期間の目安
標準的にかかる時間は、「3〜6か月」です。
調査・選定・決議・引継ぎの各段階に最低1か月ずつかかるためと言えます。
進め方の例を示します。
- 1か月目:課題の洗い出しと現状把握。清掃品質の点検表づくり、未収金の数字確認、フロント応答の実績集計まで済ませます。
- 2か月目:見積り依頼と候補の比較。仕様書(RFP)で委託範囲や人員体制をそろえ、価格内訳を同じ形式で提出してもらいます。
- 3か月目:説明会と総会準備。議案書、委任状、Q&Aを配布し、採決日と定足数対策を決めます。
可決後:1〜2か月かけて引継ぎ。通帳・印鑑・ID、会計データ、鍵、保守契約の承継、収納代行の切替、点検スケジュールの接続まで連結します。
以上を逆算し、期末や修繕工事の予定に重ならない日程を組みましょう。
緊急解約が必要なケースの進め方
緊急解約が必要な場合では「暫定対応の型」で安全と資産を守るようにしましょう。
保全→通知→暫定体制→総会の順番になることを覚えておいてください。
まず、通帳・印鑑・ネット権限・会計データ・鍵・名簿を理事会保管へ切り替えて、アクセス権の変更やログ保存も急ぎ実施します。
次に、内容証明で解約通知と是正要求を発送しましょう。
返還物の一覧、締め日、面談日程を指定します。
並行して、短期の暫定委託(清掃・警備・設備点検)を締結し、24時間の連絡窓口を明記します。
マンション住人への周知は掲示・回覧・一斉メールにするのが良いでしょう。
住民の連絡先カードを更新し、停電や漏水の一次対応を明確にしてください。
最後に、臨時総会の開催準備へ進みます。
議案は「解約承認」「新会社の内定」「引継ぎ計画」です。
証拠の保全と専門家への相談も忘れず進めてください。
マンション管理会社を変更するメリット5選

マンション管理会社を変更するメリットは以下のとおりです。
- 管理委託費用が安くなる
- 管理の質が向上する
- 管理組合の課題解決につながる場合がある
- 住人の当事者意識が高まる
- 新たな提案を受けられる
順番に解説します。
【メリット①】管理委託費用が安くなる
多くのマンションにおいて、管理会社を変更する主な目的は管理コストの削減にあります。
実際に、新しい管理会社への切り替えによって、一世帯当たりの管理費が安くなるケースもあります。
明確な経済的利益は、多くの住民にとって最大の魅力といえるでしょう。
毎月の固定費用を減らすことは、住民にとって直接的な金銭的メリットをもたらし、この点が管理会社変更の大きな利点となっています。
【メリット②】管理の質が向上する
管理会社によって提供されるサービスレベルには違いがあり、フロント担当者のマンション管理数に反映されます。
たとえば、1人の担当者が管理するマンションの数が10棟の場合もあれば、30棟を超えるケースもあります。
これにより、サービスの対応速度に顕著な違いが出ることがあります。
担当棟数が少ない場合、より細やかで手厚いサポートが期待できる可能性があります。
【メリット③】管理組合の課題解決につながる場合がある
マンションの運営上の問題解決には、管理会社のサポートが不可欠です。
しかし、問題に取り組む姿勢や革新的な提案をする能力は、会社によって大きく異なります。
たとえば、マンションの駐車場に空きが多く生じている場合、優れた管理会社であれば迅速に対応策を打ち出します。
周辺の駐車場料金を調査し、マンションの料金設定が市場価格よりも高い場合には、価格調整を提案し、結果としての収益見込みを提示するなどが含まれます。
また、マンション内での募集告知を行うなど、物件特有の戦略を考案してくれることも期待できます。
一方で、提案能力に欠ける管理会社では、このような問題が放置されることもあります。
管理会社選びの際には、「当マンションが直面している問題に対して、貴社ではどのような解決策を提案できますか?」と質問することで、その会社の提案力や積極性を見極める手がかりになるでしょう。
【メリット④】住人の当事者意識が高まる
マンション管理会社の変更過程は、従来自治活動に参加してこなかった組合員を含め、全組合員の管理に対する関心を高める良い機会となります。
この過程には、会議の運営や業者選定など、組合員の積極的な参加が求められます。
新しい管理会社への移行には、問題が提起されてから実際に変更が完了するまでに1年程度かかります。
この期間は組合員が協力して議論を深め、共通の意見を形成していく重要な時期となります。
このような組合員間の連携と自治意識の向上は、将来のマンション運営にとっても非常に有益な影響をもたらします。
【メリット⑤】新たな提案を受けられる
提案力の高い管理会社に任せることで、これまで手が付けられなかったマンションの問題を解決できる可能性があります。
さらに、気づかなかった新しい課題を発見する機会も生まれるかもしれません。
例えば、車離れが進む現代では、空きが目立つマンションの駐車場も珍しくありません。
提案を積極的に行ってくれる管理会社であれば、駐車料金の見直しや外部への貸し出しを含め、空いた駐車スペースを有効活用する方法を提案してくれることでしょう。
新しい管理会社を選ぶ際は、その会社が信頼できる管理のプロフェッショナルかどうかをしっかりと判断することが重要です。
マンション管理会社を変更するデメリット

マンション管理会社を変更するデメリットは以下のとおりです。
- 業務の継続性が失われる
- 管理会社を変更することへの不安
順番に解説します。
【デメリット①】業務の継続性が失われる
マンションの管理規定は通常、国土交通省が策定した「マンション標準管理規約」をベースに作成されるため、管理会社が変わっても基本的なルールは変わりません。
ただし、管理組合とマンション管理会社間で独自に合意された特約が存在する場合は、これらの取り決めは新しい管理会社にも適切に引き継がれる必要があります。
特に、具体的な手続きや取り決めが明確に定められている場合はスムーズに引き継ぎが可能ですが、そうでない場合には、詳細を確実に引き継ぐための注意が必要です。
【デメリット②】管理会社を変更することへの不安
一度も管理会社を変更した経験がない場合、分譲以来ずっと同じ管理会社に委託している状況になります。
「自分たちのマンションについて深く理解している」「建設した会社と同じグループの管理会社の方が望ましい」と考える声もあります。
しかし、管理会社の変更が不可能である、あるいは建設会社が関連するグループ企業でなければ行えない修繕作業があるわけではありません。
それにもかかわらず、管理会社を変えることによる潜在的な問題への懸念を抱える方もいます。
マンション管理会社を変更する理由3選

マンション管理会社を変更する理由は以下のとおりです。
- 管理会社が不正行為をしていた
- 管理会社の対応に不満がある
- 管理委託費の値上げ要請があった
順番に解説します。
【理由①】管理会社が不正行為をしていた
残念ながら、管理会社による不正行為が毎年報告されています。
管理組合からの管理費の着服、スタッフによる同様の行為、実施されていない工事の請求書を偽造して不正に資金を引き出すなど、さまざまな問題が発生しています。
もし自分のマンション管理会社に最近問題がなかったか確認したい場合、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で調べることをお勧めします。
このサイトでは、国土交通省の管轄下にある事業者に対する行政処分の履歴が確認できます。
管理会社が不正を行った場合、それを国土交通省に報告することが義務付けられています。
この報告を基に、国土交通省がどのような措置を取ったかの情報が「ネガティブ情報等検索サイト」に記録されています。
【理由②】管理会社の対応に不満がある
管理会社に対する一般的な不満には、以下のような内容が含まれます。
- 電話で担当者と連絡が取れにくい
- 共用部分のトラブルに対応が遅い、またはない
- 管理費の未払い問題に手をつけていない
- 小さなミスが頻繁に発生する
- 管理スタッフや清掃スタッフの質が低い
- 柔軟な対応が期待できない
- マンションへの訪問が少なすぎる
- 依頼した作業の進行が遅い
- 修繕工事の提案が多すぎる
これらの不満は「管理会社自体への不満」と「個々の担当者への不満」に分けられます。
管理会社自体の問題はすぐに改善されないこともありますが、担当者に関する不満は担当者の交代によって解消されることがあります。
もし現在の担当者に不満がある場合は、上層部に担当者の変更を依頼することも一つの解決策です。
しかし、多くの業界で人手不足が問題となっており、管理会社も例外ではないため、希望が叶うとは限らない点を留意する必要があります。
関連記事:マンション管理組合でよくあるトラブル7選|解決方法や相談先も紹介
【理由③】管理委託費の値上げ要請があった
現在の業務内容で管理委託費の増額を求めるケースが見られますが、これにより各世帯が支払う管理費も増加する傾向にあります。
多くの管理会社は、管理業務の大部分を提携先に再委託しており、過去数年でこれらの業務の発注費が大きく上昇しています。
この値上げの背景には、人手不足や最低賃金の上昇があるとされています。
この問題は、特定の管理会社だけではなく、管理業界全体に共通の現象ですから、ある意味で避けがたい事態と言えます。
それでも、値上げを避けるために他の管理会社への切り替えを考える動きが活発になることがあります。
管理費の値上げが提案されると、既に不満を持っている住民からは管理会社への不信感がさらに強まることが多く、結果として管理会社の変更を真剣に考える住民が増える可能性が高くなります。
候補マンション管理会社の評価基準

「マンション管理会社の変更の手順」でも少しだけ触れましたが、新しいマンション管理会社を選ぶ際にチェックしておきたい事項をご紹介します。
品質
品質は「人」と「対応」で見極めます。
フロント担当の力量、管理員・清掃員の勤務体制、緊急対応を必ずチェックしてください。
日々の満足と事故時の被害軽減に直結します。
- フロント担当:経験年数、同時担当棟数、保有資格、引継ぎ方法
- 管理員・清掃員の勤務体制:勤務曜日・勤務時間の確認
- 緊急対応:受付窓口、一次到着までの目標、報告書の提出期限
例えば、夜間は警備会社が一次対応、担当は翌営業日に現地確認、報告は48時間以内など、数値で明記が望ましいです。
管理物件の視察時は清掃の出来、掲示板の更新、苦情対応の記録簿も合わせて確認しましょう。
数と仕組みを数字で示せる会社ほど安定度が高いです。
コスト
コストは「内訳」と「追加条件」で判断します。
月額の総額だけで決めない、というのが肝心です。
安い見積りでも、点検や清掃頻度や管理員・清掃時間の短縮、追加費で逆に高くなる例があります。
比較では以下をチェックしてください。
- 委託費の内訳:管理員、人件費、清掃、設備点検、事務
- 頻度と仕様:清掃回数、現業員の勤務時間、点検範囲
- 追加費の発生条件:臨時出動、書類作成、夜間対応、業務外の単価
例えば、月額が低い代わりに「臨時対応は都度○円」「点検は最低仕様」だと、年間では高くつくため注意が必要です。
提案力
提案力は「将来への見通し」で測れます。
長期修繕、省エネ、DX、未収金対策のセット提案を求めるのがベストでしょう。
- 長期修繕:劣化診断の根拠、費用平準化の案
- 省エネ:LED化、空調最適化、電力契約の見直し
- DX・キャッシュレス:オンライン掲示板、申請の電子化、口座振替やQR決済
- 未収金:督促フロー、弁護士連携、保証サービス
「LED更新で共用電気を○%削減」「管理アプリ導入で連絡の未達を解消」など、数値と手順がある提案は再現性が高いと言えます。
改善の地図を示せる会社を選びましょう。
コンプライアンス・情報セキュリティ
コンプライアンス・情報セキュリティ面のチェックは重要です。
個人情報と会計ガバナンスの仕組みを文書で確認しましょう。
名簿や口座、鍵、入出金の扱いに不備があると大きな被害を受けてしまう恐れがあります。
- 個人情報:アクセス権限、ログ管理、外部委託先の管理、退職時の権限削除
- 会計ガバナンス:入出金の分掌、通帳と帳簿の照合頻度、承認フロー、監査対応
- データ保全:バックアップ、暗号化、保存年限、返還形式
「二名承認で振込」「毎月の残高証明を理事会へ提出」「名簿は暗号化、閲覧は記録付き」など、仕組みが見える会社を選ぶと安心です。
制度と記録が整った相手なら、安心して任せられるでしょう。
改善交渉!マンション管理会社変更以外の選択肢
「マンション管理会社の変更の手順」内の「現マンション管理会社への交渉」でもお伝えしたとおり、すぐにマンション管理会社の切替へは進まず、改善交渉で現体制を見直してみるのが良いでしょう。
現行管理会社への改善要求の出し方
| ステップ | 要点 | 具体例・基準 | 運用のコツ |
| 1.KPIを数値で設定 | 「KPI+期限+記録」で進める前提づくり | 清掃チェック表平均90点以上/問い合わせは平日24時間以内に初動/未収金は3か月で回収率○% | 指標は数値で統一/算定方法を明記 |
| 2.試行期限 | 2〜3か月の試行+中間チェック | 週次で実績表を受領/月次レビューで乖離を可視化 | 提出締切の固定/未提出時のリマインド手順を設定 |
| 3.再評価 | 達成度で次の処置を決定 | 理事会で合意事項・実績・改善案を議事録化 | 是正期限・次期KPIを確定/継続・是正・切替の選択肢を明記 |
「KPI+期限+記録」で進めるのが良いでしょう。
あいまいな依頼だと効果が測れず、責任の所在もぼやけてしまいます。
現行のマンション管理会社へ依頼する文章は書式をそろえ、KPI・期限・担当名・報告方法を一枚にまとめるとわかりやすいでしょう。
担当者変更/体制強化/部分外注の活用
同じ人数と段取りでは結果が変わりにくいところがあります。
そのため、人と仕組みを替えるのが良いでしょう。
| 施策 | 狙い | 実施内容 | チェックポイント |
| 方針転換(人と仕組み) | 既存段取りの限界を突破 | 体制の見直しと役割再設計 | 目的・期限・責任の明確化 |
| 1. 担当者変更 | 品質と応答力の底上げ | 経験年数、同時担当棟数、代務計画の提示/引継ぎ日程と連絡経路を先決め | 新担当の着任日/引継ぎ完了記録/連絡先一覧の更新 |
| 2. 体制強化 | 可視化と稼働の安定化 | 巡回回数の増枠/夜間・休日の一次窓口追加/週次定例の設定 | 巡回ログの本数/一次到着時間/定例議事メモの蓄積 |
| 3. 部分外注 | 専門領域の質と速度を確保 | 設備点検・警備・植栽・未収金法務を切り出し/単価・報告様式を契約に明記 | 契約書の順守率/月次レポートの提出率/年間総額の妥当性 |
現在抱えている問題を解決できる場合もあります。
単価、レポート様式を委託契約に明記してください。
例えば、「清掃は週5回へ増枠」「夜間は警備窓口で一次受け」「未収金は弁護士連携で督促2段階」のように、役割と数字を並べると効果が出やすいでしょう。
それでも駄目な場合
「もう少し様子を見れば改善が見込めるかもしれない」と思ってしまうかもしれませんが、期間内に改善できないようであれば「次段階へ進む準備にスイッチを切り替えましょう。
KPI未達が続く状態で延長しても、費用だけが積み上がるだけです。
マンション管理会社変更で失敗しないためのポイント5選

マンション管理会社変更で失敗しないためのポイントは以下のとおりです。
- コンサルティング会社にいわれたままに動かない
- アンケートを取る
- 管理の質が改善しない場合は再考
- 金額だけで管理会社を選ばない
- 管理の質を落とす変更はしない
順番に解説します。
【ポイント①】コンサルティング会社にいわれたままに動かない
コンサルティング会社に相談する場合は、成功報酬型に要注意です。
成功報酬型とは、管理会社変更により管理費を節約できた場合に、削減できた管理費の何割かがコンサルティング会社の報酬になる仕組みをいいます。
コンサルティング会社としては、削減すればするほど自社の利益につながるため、サービスの質よりもコストカットに努めるようになります。
削減の度合いが大きければその分自社の利益が増えるため、料金が安価なマンション管理会社への変更をすすめられる可能性が高いです。
管理費が安くなるのは管理組合にとってもわかりやすい魅力です。
何も知識がない人は、コンサルティング会社に言われるがまま管理会社を変更して後悔するケースがあります。
自分自身でも紹介された管理会社が最適な選択肢なのか検討する姿勢が大切です。
【ポイント②】アンケートを取る
住民のフィードバックを収集することで、管理会社の変更を検討する際に重要な洞察を得ることができます。
住民アンケートを通じて、管理組合が気づいていない潜在的な問題が明らかになる可能性があります。
清掃スタッフや緊急サポートチームなど、管理会社が外部に委託しているスタッフの対応は、住民が直接経験するサービスの質に大きく影響します。
スタッフの対応が住民の管理会社に対する印象を左右するでしょう。
不満がある場合は、管理会社の全面的な変更ではなく、具体的な現場スタッフの交代を提案することが解決策となる場合があります。
【ポイント③】管理の質が改善しない場合は再考
管理やサービスの質を低下させるような変更は避けるべきです。
管理費の削減が必要で、より低コストの管理会社への変更を検討するケースもあるかもしれません。
しかし、費用削減が最終的に住民にとってのメリットにならない場合も少なくありません。
このような変更は、管理サービスの質の低下を招き、結果として住民の不満を増大させることにつながる可能性があります。
管理会社を変更する際には、現在の管理やサービスの質を維持あるいは向上させることを最優先事項として考えることが重要です。
【ポイント④】金額だけで管理会社を選ばない
管理会社を変更する際には、コストを抑えることも重要ですが、単に管理委託業務費が最も安いという理由だけで選ぶべきではありません。
最も低価格な会社を選ぶことで、住民の期待に応えるサービスが提供されないリスクがあります。
安価な管理会社を選んだ結果、共用部分の維持管理が不十分になったり、管理スタッフの対応が住民の期待に応えなかったりする可能性があることは大きなデメリットです。
また、管理スタッフがパートタイムか正社員かによっても、委託業務費が異なる場合があります。
管理会社を選定する際には、単にコストだけでなく、住民からの要望や期待される管理サービスをしっかりと聞き取り、それを予算と照らし合わせて慎重に選択することが重要です。
【ポイント⑤】管理の質を落とす変更はしない
管理会社を変更しても管理の品質が下がると、その変更が意味をなさなくなります。
契約を結ぶ際には、提案される管理サービスが住民の要望に適合しているかを必ず確認しましょう。
品質をおろそかにすると、エレベーターや廊下の清掃が行き届かなくなることがあります。
さらに、以前の管理人が行っていた業務が新しい担当者によって省略されることもあり得るので、この点も注意が必要です。
以前の管理会社よりもサービスが悪化すると、「以前の方が良かった」との不満が住民から出ることがあります。
もし管理の質が大幅に低下した場合は、元の管理会社に戻すという事態にもなりかねません。
変更に伴う話し合いや説明会が無駄にならないよう、どのような管理サービスを求めるのかを慎重に決定することが重要です。
まとめ【マンション管理会社を変更する際の手順を理解しましょう】
今回は、マンション管理会社を変更する際の手順と併せて、マンション管理会社を変更するメリット・デメリットを解説しました。
マンション管理会社の変更の手順は以下のとおりです。
- マンション管理会社の問題点を洗い出す
- マンション管理会社を選ぶ
- マンション管理会社のプレゼンを受ける
- 契約内容を確認する
- 総会でマンション管理会社の変更を決議する
- 現在のマンション管理会社に解約の旨を伝える
- 新旧の管理会社で引き継ぎを行う
「マンション管理会社変更したいけど、やり方がわかんない……」
「今のマンション管理会社に不満がある……」
こういった悩みはありませんか?大切なことなので慎重になり、なかなか自分では動けませんよね。
弊社、株式会社デュアルタップコミュニティでは、管理会社の業務を知り尽くしたコーディネーターが適切なマンション管理をご提案致します。
今ならマンション管理会社変更についての無料相談・3分無料診断を行なっています。
相談は無料なので気軽にお問い合わせください。




