マンション建て替えまでの4つの流れ|決まってからの流れや費用について解説

多くのマンション所有者が直面するのは、不安と疑問の連続です。

しかし、この記事を通じて、その疑問に明確な答えを提供します。

なぜ建て替えが必要なのか、どのように進めれば良いのか、そしてどんな費用がかかるのか。

この記事を読むことで得られるのは、ただの情報だけではありません。

建て替えによって新たな価値をマンションにもたらす方法、そしてそのプロセスを通じて、住民としての満足度を高める方法を学べます。

今、この記事を開いたあなたが、明るい未来への道を切り開くための一助となることを願っています。

池田写真


この記事の監修者

株式会社デュアルタップコミュニティ 代表取締役社長
池田 秀人

2017年6月株式会社デュアルタップ入社、2017年10月株式会社デュアルタップコミュニティ設立(取締役就任)、2018年7月株式会社建物管理サービスの株式取得し、完全子会社へ(取締役就任)、2019年7月専務取締役に就任、2020年7月代表取締役に就任~現在に至る

所有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

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マンション建て替えまでの流れ

マンション建て替えまでの流れ

マンション建て替えまでの流れは以下のとおりです。

  • 準備段階
  • 検討段階
  • 計画段階
  • 実施段階

順番に解説します。

準備段階

建物の建て替えに関する初期段階は、その必要性に関する協議から始まります。

時間の経過とともに、建物は老朽化していくのが一般的です。

特に、建物が40年以上経過した場合、その老朽化が建て替えの主な理由となることがあります。

このような状況では、建物の状態を定期的にチェックし、必要に応じて専門家を招き、管理組合での議論が開始されることが一般的です。

検討段階

管理組合における検討プロセスでは、建物の建て替えを進めるか、それとも大規模修繕を実施して建て替えの時期を先延ばしにするかを決定します。

適切な決定を下すため、マンション管理会社、建設業者、またはマンション管理士などの外部専門家にアドバイスを求めます。

この段階で、管理組合内に理事会と別に建て替え検討委員会を立ち上げるケースが多いです。

検討を経て、大規模修繕ではなく建て替えが適切であると結論付けられた場合、管理組合は「建て替え推進決議」を採択し、計画の次の段階へと移行します。

計画段階

この段階では、管理組合が建て替えの具体的な計画を策定します。このプロセスには、以下のような重要な要素が含まれます。

  1. 設計および施工を行うデベロッパーの選択。
  2. 建て替え計画の全体像(建築および事業面)の検討。
  3. 区分所有者との意見交換と合意形成のための準備。
  4. 地域行政との調整や近隣住民との協議。

計画案が固まった後、住民(組合員=区分所有者)への説明会を経て、「建て替え決議」が行われます。

この決議は、計画案に対する組合員の賛否を確認するもので、賛成票が5分の4以上集まれば建て替えが正式に決定されます。

決定後は、建て替えを管理するための「建替組合」が設立され、実施段階に進んで様々な手続きが行われます。

実施段階

建て替え工事の実施フェーズでは、まず所有者の権利(例えば区分所有権や敷地利用権、住宅ローンの抵当権など)を旧マンションから新マンションへ移転するための最終手続きが必要です。

この時期、居住者は工事が完了するまで別の場所に仮住まいをする必要があります。

住宅ローンが残っている場合、その支払いと仮住まいの家賃を同時に負担することになります。

建て替えに賛成か反対かを決める際には、これらの追加費用を含めた建て替え全体のコストを十分に考慮し、経済的に負担可能かどうかを慎重に判断することが重要です。

マンション建て替えにかかる費用

マンション建て替えにかかる費用

マンションの建て替えにおける住民の自己負担費用は、一般的に1,000万円から2,000万円程度を目安にします。この自己負担額には、以下のような費用が含まれます。

  • 解体にかかる費用
  • 新しい建物の建設コスト
  • 専門家に支払う調査の費用
  • 設計に関わる費用
  • 事務手数料
  • 仮住まいにかかる費用

解体工事の費用は一坪あたり約5万円から8万円が一般的です。

また、鉄筋コンクリート造の建物の建築費用は、一坪あたり約100万円が目安とされています。

ただし、マンションの規模やグレード、建築面積、階数、立地条件などによって費用は異なります。

最低でも1,000万円は建て替え費用として必要と考えるべきです。

自己負担がなしになる場合

場合によっては、マンションの建て替えにおいて、住民の自己負担が不要あるいは軽減されることもあります。

これは「容積率」の余裕によって可能になることがあります。

容積率とは、敷地面積に対してどれだけの床面積を建築できるかを示す割合です。

もし既存のマンションが容積率の上限に達していない場合、新築するマンションで部屋数を増やすか、建物の階数を増加させることができるかもしれません。

このようにして追加された部屋を販売し、新たな入居者の獲得が可能です。

そして、その販売から得られる収益を建て替え費用に充てることで、住民の自己負担が減少するか、完全に不要になる可能性があります。

マンションの寿命や耐用年数

マンションの寿命や耐用年数

それぞれの特徴の違いを表にしたものは以下の表です。

耐用年数の種類耐用年数性質
法定耐用年数47年減価償却費が計上できる期間
物理的耐用年数60~100年住める年数
経済的耐用年数40~50年住みやすい年数

順番に解説します。

法定耐用年数

法定耐用年数とは、企業が資産の減価償却費を計上することが許される会計期間を指します。

この期間は、建物の種類に応じて異なり、例えば、鉄筋コンクリート製や鉄骨鉄筋コンクリート製の建物の場合、47年間と定められています。

この法定耐用年数は、建物が機能的に使用可能な期間を基に設定されているものの、実際の使用可能期間やその建物が持つ経済的価値とは必ずしも一致しません。

物理的耐用年数

物理的耐用年数は、建物が実際に使用可能な期間を指します。

最新の建築技術により、鉄筋コンクリート造の建物は100年以上持続するとされています。

しかし、50年前の建築技術では現在ほど進んでいなかったため、その時期に建設されたマンションの物理的耐用年数は、おおよそ60から70年程度と見積もられています。

経済的耐用年数

経済的耐用年数は、建物が市場価値を持ち続ける期間を指します。

例えばマンションの場合、建物そのものの価値がなくなった後も、土地の価値が残るため、完全に価値がなくなるわけではありません。

しかし、経済的耐用年数が終了すると、その取引価格は主に土地価格に依存するように変わります。

一般的にマンションの経済的耐用年数は40年から50年とされています。

この期間を超えると、建物の価値はほとんど考慮されず、主に土地の価値で評価されるようになります。

このような経済的耐用年数は、建物が年老いて市場の現在の要求に合わなくなるにつれて設定されます。

たとえば、50年前の建築基準で建てられたマンションでは、現代の需要に合わない設備の不備が多く見られます。

これにはエレベーターの欠如、エアコンの設置不可、狭いリビングスペースなどが含まれます。

これらの特性は、物件が市場で売れにくくなり、経済的価値を生み出すのが難しくなる主な理由です。

結局のところ、「住める」と「快適に住める」とは異なります。

物理的耐用年数は建物が実際に使える期間を表し、経済的耐用年数は建物が快適かつ有益に使える期間を示しています。

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マンションが老朽化したらどうなるのか

マンションが老朽化したらどうなるのか

マンションが老朽化したら以下のようになります。

  • 建物が危険な状態になる
  • 設備の不具合が出てくる
  • 資産価値の低下につながる
  • 修繕積立金の値上げが必要になる

順番に解説します。

建物が危険な状態になる

老朽化したマンションでの非常階段の手すりがサビで覆われ、少しの力で落ちそうな状態になった事例があります。

この手すりが実際に落下するという事態を考えるだけでも恐ろしいものです。

さらに、このような非常階段の状態では、住民が落下する危険性もあります。

これまで問題なく機能していた部分でも、時間の経過と共に耐久性が低下し、単純に一人を支えることさえ困難になっていることがあります。

この状況は、そのマンションが非常に危険な状態にあることを示しています。

設備の不具合が出てくる

例えば、給水管が古くなっている場合、交換工事を行わなければ漏水事故のリスクが高まります。

漏水が発生すれば、その部屋だけでなく、下の階の部屋も大きな被害を受ける可能性があります。

時には、住民が部屋を一時的に離れる必要が出ることもあります。

古い給水設備をそのまま使用し続けると、予期せぬ時に水が止まるというトラブルが発生するかもしれません。

このような問題は、機械式駐車場やエレベーターといった他の設備にも同じように適用されます。

資産価値の低下につながる

外見が痛んでいるマンションや、修繕積立金が他の物件と比べて非常に高いマンションの購入を検討する人は少ないでしょう。

その結果、これらのマンションは近隣の市場価格よりもかなり低く設定しなければ売れにくくなる傾向にあります。

これにより、最終的にはそのマンションの資産価値が低下することになります。

修繕積立金の値上げが必要になる

老朽化が進んだマンションで必要な修繕を慌てて行う場合、大幅な積立金の増額を考慮する必要があります。

例えば、あるテレビ番組で紹介されたマンションでは、1世帯あたりの不足金額が約94万円とされました。

このマンションには48世帯が住んでおり、全体で見ると不足金額が約4,500万円に達します。

この金額を3年間で賄う計画だとすると、1世帯あたり月に約26,000円の追加徴収が必要となります(1世帯あたり94万円を36ヶ月で割った金額)。

関連記事:築60年のマンションは住めるのか?購入するメリット・デメリットを解説

マンションの建て替えが少ない理由

マンションの建て替えが少ない理由

マンションの建て替えが少ない理由は以下のとおりです。

  • 費用の負担が大きい
  • 建て替え決定までの流れが複雑
  • 法令に合致していない分譲マンションが多い

順番に解説します。

【理由①】費用の負担が大きい

マンションの建て替えが進行しない主な原因は、高額な建て替え費用の負担です。

多くのマンションでは、管理組合が修繕積立金を蓄積していますが、この貯蓄だけでは建て替えの全費用を賄うには不十分です。

その結果、多くのマンションでは資金不足を理由に建て替えが行えない状況になっています。

資金不足は多くのマンションで共通の課題ですが、一部では建て替えを成功させています。

成功している例では、建て替えによって新たな分譲床を生み出し、それを販売することで建て替え資金を確保しています。

たとえば、元のマンションが100戸で建て替えにより150戸になる場合、新たな50戸を販売して建て替え資金に充てるわけです。

しかし、新たな分譲床を増やすことは、すべてのマンションで可能なわけではありません。

容積率に余裕があるマンションのみが、このような方法で建て替え資金を捻出することが可能です。

【理由②】建て替え決定までの流れが複雑

マンションの建て替えが難航する一因として、決定プロセスの複雑さが挙げられます。

マンションを建て替えるためには、区分所有者と議決権の5分の4以上の賛成が必要で、これを「建て替え決議」と称します。

しかし、この建て替え決議を獲得するのが非常に難しいのが現状です。

建て替えを進める場合、所有者は工事期間中に別の住居へ移る必要があり、これによる経済的負担は大きいです。

また、古いマンションには年金生活者など経済的な余裕が少ない高齢者が多く、彼らに負担を強いる建て替えに対する合意形成は困難です。

多くのマンションではそもそも建て替え決議が得られず、管理組合が建て替えを目指す方向に進むことは少ないです。

さらに、理事の中に建築に詳しい人がいない場合、議論が頓挫しやすいため、建て替えのプロセスには有能な人材が理事にいることが重要です。

【理由③】法令に合致していない分譲マンションが多い

建て替えが進まない理由の一つとして、既存不適格な建物の存在が挙げられます。

既存不適格とは、建設当時の法令には適合していたが、現行法には適合しない建物のことを指します。

例えば、現在の容積率が200%に指定されている土地で、以前に250%の容積率を利用して建設された建物がこのケースに当てはまります。

多くの古いマンションは、容積率規定が設けられる以前に建てられたため、現行の規定を超える場合があります。

しかし、たとえ容積オーバーでなくても、建て替えは難しいとされています。

これは、建て替えが容積率の余裕がある場合にのみ可能であるため、現行の法令に適合している建物であっても、建て替えが困難な場合があるからです。

例えば、容積率が300%の土地において、現在の建物が全容積率を使用している場合、この建物は合法ですが、容積率の余裕がないため、建て替えは難しいと言えます。

つまり、既存不適格な物件だけでなく、法令に適合している建物であっても、建て替えは一般的に困難なのです。

マンションの建て替えが決まった時の動き

マンションの建て替えが決まった時の動き

マンションの建て替えが決まった時の動きは以下のとおりです。

  • 立ち退く
  • 再入居する

順番に解説します。

立ち退く

建て替えに伴い、新しいマンションへの再入居ではなく立ち退きを選択することもあります。

建て替えに要する約1,000万円から2,000万円の費用は容易に用意できるものではなく、特に既存のマンションに住宅ローンが残っている場合は、その支払いにも対応する必要があります。

経済的な不安がある場合、現在のマンションを売却し、別の中古マンションへの移住を検討するのも一つの選択肢です。

立ち退きの際には、「売渡し請求権」に注意する必要があります。

これは、建て替え組合が住民に対して所有する住居部分の権利を売渡すよう請求する権利のことです。

この場合、マンションは時価で売却されます。また、これまで積み立ててきた「修繕積立金」は返還されます。

立ち退きを検討する際は、このような制度を考慮し、自身の経済状況を総合的に判断することが重要です。

立ち退きを選択した場合、マンションの売却が必要になりますが、破損や汚れが目立たない限り、売却前のリフォームは必ずしも必要ではありません。

再入居する

建て替え後の新しいマンションへの再入居を選ぶ場合、自己負担する費用が発生します。

この自己負担の額は、マンションのサイズや品質によって異なりますが、一般的には1,000万円から2,000万円程度が必要とされています。

さらに、一時的な仮住まいや引越しに関する費用も考慮する必要があります。

他方で、現在の住居を売却し立ち退くことを選ぶと、売却の準備や新しい住居の探索に手間と時間がかかります。

新しい住居が希望する場所に見つからない場合、通勤や通学の距離が長くなる可能性もあります。

住宅ローンの支払いが完了しており、経済的に余裕のある方や、家族や職場の事情で移住が難しい方は、再入居を検討する価値があります。

結局のところ、費用や生活環境の両面から総合的に判断することが重要です。

建て替えが実施されないマンションはどうなるのか

建て替えが実施されないマンションはどうなるのか

大規模修繕

建物の建て替えを行わないマンションにとって、定期的に実施する大規模修繕が現実的な対策となります。

これまで蓄えてきた修繕積立金を用いて、多くの大規模修繕が可能です。

例えば、バリアフリー改修や防犯カメラの設置などの工事は、区分所有者と議決権の2分の1以上の通常決議によって承認されることが多いため、住民の支持を集めやすいものです。

マンション敷地売却制度

マンション敷地売却制度とは、建て替えのための資金が不足しているマンションを、都道府県知事の認定を受けた購入者(主にマンション開発業者)が買取ることを可能にする制度です。

この制度では、建て替えではなく敷地全体の売却を通じて、資金不足の状況でも進行が可能です。

この制度の対象となるのは、耐震性が不足しており除去が必要とされるマンションです。

ただし、売却を進めるには、区分所有者の頭数、議決権、および敷地利用権の持分の価格のそれぞれ4分の5以上の賛成が必要です。

資金面でのハードルは比較的低いものの、必要な賛成の数は建て替え決議と同様であり、容易に決定できるわけではありません。

そのため、マンション敷地売却制度を利用する際は、建て替え時と同じように、住民に対する周知と意識形成のための取り組みが必要です。

負担が厳しい場合は売却も検討しましょう

負担が厳しい場合は売却も検討しましょう

建て替えの際に自己負担が1000万円以上になることは、多くの人にとって厳しい出費と感じられるでしょう。

そのため、中古マンションを購入を考えている方は、特に築年数が長い物件の場合、老朽化や将来の建て替えの可能性を事前に検討し、そのリスクを考慮した上での購入判断が重要です。

また、築年数が長いマンションに現在住んでいる方で、建て替えに伴う負担が心配な場合は、建て替えが議論される前に物件を売却することも検討すべきです。

その売却収入を使って、現在の生活スタイルに合った新しい住まいを見つけることが可能です。

しかし、建て替えの計画が具体化してから売却を試みると、購入希望者が見つかりにくくなるリスクがあります。

売却を検討する場合は、建て替えの議論が活発になる前に手を打つことが望ましいでしょう。

まとめ【マンション建て替えの費用や流れを把握しましょう】

今回は、マンション建て替えの流れと併せて、マンション建て替えの費用や建て替えが少ない理由、建て替えが決まった時の動きについて解説しました。

マンション建て替えまでの流れは以下のとおりです。

  • 準備段階
  • 検討段階
  • 計画段階
  • 実施段階

流れや費用を把握して適切な判断をしましょう。

「マンション管理会社変更したいけど、やり方がわかんない……」

「今のマンション管理会社に不満がある……」

こういった悩みはありませんか?大切なことなので慎重になり、なかなか自分では動けませんよね。

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