マンション管理会社が変更になる理由3選|変更するメリットも解説
- マンション管理会社が変更になる理由が知りたい!
- マンション管理会社を変更するデメリットってなんだろう?
- マンション管理会社変更でよくあるトラブルが知りたい!
このような悩みを解決できる記事となっています。
ご紹介する「マンション管理会社を変更する際の注意点」を読むと、トラブルを防げます。
まずは「マンション管理会社が変更になる理由3選」をまとめていますので、ぜひ読み進めてみてください!
関連記事:【保存版】マンション管理組合の変更手順|7ステップでわかりやすく解説

この記事の監修者
株式会社デュアルタップコミュニティ 代表取締役社長
池田 秀人
2017年6月株式会社デュアルタップ入社、2017年10月株式会社デュアルタップコミュニティ設立(取締役就任)、2018年7月株式会社建物管理サービスの株式取得し、完全子会社へ(取締役就任)、2019年7月専務取締役に就任、2020年7月代表取締役に就任~現在に至る
所有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
目次
管理会社は本当に「変更できる」原因や理由って?

規約と契約に沿えば可能です。
総会でマンション管理会社の変更を決め、解除条項を確認し、引継ぎを準備する流れで進めていきましょう。
分譲時から管理会社を変更しているマンションは全体の約21%
分譲時から管理会社を変更しているマンションは全体の約21%です(参照:マンション管理会社の変更を考える前に関係改善を)。
新築直後の契約から永続的に同じように使用するという前提ではなく、運営実態に合わせた見直しが進んでいます。
その背景として、管理委託費の上昇、担当者の対応力、修繕提案の妥当性などが挙げられます。
例えば、築10年・100戸の物件で、夜間の緊急対応が遅い、点検結果の説明が乏しい、修繕見積が高いという不満が重なるケースなどです。
理事会で課題を洗い出し、同じ条件で複数社に見積を依頼し、比較表で評価し、総会で判断する流れが定番だと言えるでしょう。
標準管理委託契約の範囲
標準管理委託契約の範囲を押さえると、見直しや他社比較が楽になります。主な中身は次の通りです。
- 管理員の勤務計画と日報の管理
- 共用部の清掃と美観の維持
- 法定点検や設備点検の手配
- 鍵や台帳の管理
- 会計処理、出納、月次報告
- 理事会・総会の運営支援
- 苦情受付と一次対応
- 緊急駆けつけと復旧支援
- 長期修繕計画づくりの支援
- 保守契約や保険の管理
一方で、設計監理、劣化診断、専有部の不具合対応などは別費用になりやすいです。
どこまでが基本、どこからが追加か、境目を文書で明確にしましょう。
総会決議の要件と手続(普通決議/特別決議)
総会での決め方は管理規約で定められます。
多くの規約で、管理会社の選定や契約の締結・更新は普通決議(出席の議決権の過半数)です。規約の変更や大きな計画の見直しをセットにする場合は、特別決議が要る場合もあるでしょう。
進め方の定番パターンは次の通りです。
- 理事会で課題と要件を整理
- 同条件で見積を集め、比較表を作成
- 議案書を作り、費用やSLAを明記
- 招集通知と委任状を送付
- 総会で説明と質疑、採決
- 議事録を配布し保管
事前の説明会やアンケートで不安を拾うと、可決に近づきます。
手順と証拠を丁寧にそろえましょう。
契約途中の変更は可能?契約期間・解除条項の確認
契約途中の変更が可能かどうかは、契約期間と解除条項次第です。
多くの契約で、予告の期限、違約金、原状回復の扱いが定められています。
例えば「満了の3か月前までに予告」「重大な不履行は即時解除」「違約金は未経過分の一定割合」などの条文です。
実務は理事会で条文を精読し、専門家の助言を受け、時期と費用を試算しましょう。
並行して候補先の選定、引継ぎ計画、周知文の草案を用意します。
条文に沿って予告し、切替日を確定すれば、中途でもスムーズに移行できます。
期日の管理と記録の保存に力を入れましょう。
マンション管理会社が変更になる理由3選

マンション管理会社が変更になる理由は以下のとおりです。
- 管理費が高い
- 工事費用が高い
- トラブルの対応に不満がある
順番に解説します。
【変更になる理由①】管理委託費用が高い
マンションの管理を管理会社へ依頼する場合、管理委託費用を支払わければいけません。
マンションの規模に見合わない管理プランで契約しており、高額な管理委託費用をムダに支払っているケースもあります。
管理委託費用が高すぎると感じた場合、明細を確認しましょう。
トラブルなどの対応に不満を感じた結果として、管理委託費用に見合わないと感じるケースもあります。
関連記事:【保存版】マンション管理費の値上げの原因と対応策の完全ガイド
管理委託費の値上げ
管理委託費の値上げには主に2つの理由があります。
人件費の高騰
多くの管理会社でマンション管理員の採用難が深刻化しています。
かつては定年退職後の再就職先として人気だったマンション管理員ですが、近年の社会情勢の変化により、状況は一変しました。
定年延長や再雇用制度の普及によって、高齢者でも働き続ける選択肢が増えたことが大きな要因です。
また、労働時間や勤務日数などの条件面も応募に大きく影響します。
週3日・1日4時間勤務よりも、週5日・1日7時間勤務の方が応募が集まりやすい傾向にあります。
これは、ある程度の収入を確保したいというニーズが高まっていることを示唆しています。
週3日・1日4時間勤務のような短時間勤務だと、応募者が少なく、管理組合が管理員探しに苦労するケースも少なくありません。
このような状況を踏まえ、管理会社は、より魅力的な労働条件を提示するなど、採用活動の強化に取り組む必要性が高まっています。
いままでの管理費が安すぎた
マンション管理において、管理費は管理組合と管理会社双方にとって非常に重要な要素です。
管理組合にとっては、マンションの維持管理に必要な資金源であり、管理会社にとっては、事業を継続するための収益源となります。
しかし、管理開始当初に設定した管理費が、その後の経済状況や社会情勢の変化によって、管理業務を適切に遂行するには不十分となるケースも出てきます。
例えば、人件費や物価の上昇、老朽化に伴う修繕費用の増加などが考えられます。
このような状況下では、管理会社は、管理組合に対して管理費の値上げを提案せざるを得ない場合があります。
値上げは、管理組合の理解と合意を得ることが不可欠であり、そのためには、管理会社は、値上げの必要性を丁寧に説明し、透明性の高い管理体制を構築することが重要となります。
【変更になる理由②】工事費用が高い
工事費用が高いという理由で変更になります。
同じ工事内容でも工事費用が異なる場合があります。
工事費用が安く、対応が丁寧なところに変更するとよいでしょう。
【変更になる理由③】トラブルの対応に不満がある
管理会社の対応に不満がある場合、変更になりやすい傾向があります。
不満を感じやすい事例は以下のとおりです。
- 問題が発生した際に素早い対処をしてくれない
- 複数のマンションを管理しており、対応が遅い
- 質問しても回答が曖昧
トラブル時に管理会社と連絡が取りにくいと対応が後になってしまうため、不満を感じやすいでしょう。
関連記事:マンション管理組合のトラブル解決方法3選|外部の相談窓口もご紹介
失敗しない時期選び:繁忙期・大規模修繕前後の見極め

管理会社の切替は、時期が大事になってきます。
繁忙期や大規模修繕の前後は避け、総会可決直後から余裕を持って準備を進めましょう。
切替ベストタイミングと避けるべき時期
切替ベストタイミングは、総会で可決した直後だと言えるでしょう。
決算報告が済み、資料が揃い、周知もしやすいからです。
引越しシーズン外の時期も動きやすいです。
例えば5〜6月や9〜11月は、点検や清掃の周期を合わせやすく、引継ぎの漏れを抑えやすいでしょう。
また、避けるべき時期は、大規模修繕の着工直前・完了直後です。
契約や監理の線引きが混乱しやすく、2〜4月の引越し繁忙期、年末年始、決算前の月もトラブルが増えやすいでしょう。
災害対応中や設備更新の真最中も避けましょう。
可決直後かつ業務の「谷間」を狙い、現場負荷が軽い月を選ぶようにするのが賢明です。
変更に要する期間の目安と逆算スケジュール
マンションの管理会社変更には関係者が多く関わり、周知と引継ぎに時間が要るため、準備期間の目安は3〜6か月ほどかかるでしょう。
下記に、パターン例をご紹介します。
フェーズ | 時期目安 | 主な作業 | 担当(例) | 成果物・チェック |
準備開始 | −6か月 | 課題の棚卸、資料収集 | 理事会 | 課題リスト、現状資料一式 |
要件定義 | −5か月 | 要件定義、評価項目作成 | 理事会 | 要件定義書、評価シート |
候補調達 | −4か月 | 相見積、現地同行 | 理事会+候補各社 | 見積一式、現地確認メモ |
比較・周知 | −3か月 | 比較表作成、説明会開催 | 理事会 | 比較表、説明会資料 |
決議・予告 | −2か月 | 総会可決、現管理会社へ解約予告 | 理事会 | 議事録、解約通知 |
切替準備① | −6〜−4週 | 口座切替、書類様式切替準備 | 新管理 | 口座手続、様式一式 |
切替準備② | −3〜−2週 | 鍵、契約、台帳の最終確認 | 旧管理→新管理 | 受領簿、差分一覧 |
周知最終 | −1週 | 掲示物、連絡先の周知 | 新管理 | お知らせ配布、掲示完了 |
切替実施 | 切替日 | 検針、残高確定、引継ぎ完了確認 | 理事会+新旧管理 | 検針票、残高表、引継ぎチェック表 |
初月検証 | +2〜4週 | 初月報告レビュー、是正依頼 | 理事会 | 月次報告、是正依頼書 |
主なポイントを整理すると、
- 準備期間は3〜6か月が目安(理事会主導で計画)
- −2か月(2か月前)時点で総会決議と解約予告を完了
- 切替1〜2週前に鍵・契約・台帳の最終確認
- 切替後2〜4週で初回報告の内容を確認・是正依頼
という流れになります。
担当と期限を明確にし、期日ごとのタスクを「見える化」しておくと、トラブルの防止につながります。
マンション管理会社変更にかかる費用と相場

変更にかかる費用は「内訳の見える化」と「隠れコストの把握」が鍵となります。
まずは全体像を押さえ、次の項目で深掘りしましょう。
- 初期費用とランニングコスト
- 月次費用の見積もり比較ポイント
見積書の読み方を知れば、無理のない切替計画に近づきます。
この項目では、マンション管理会社変更にともなう費用感についてご紹介します。
初期費用とランニングコスト
初期費用とランニングコストを分けて考えましょう。
初期費用は、切替の事務と周知に関わる一時金です。
ランニング費用は、毎月の管理委託料に加え、清掃・設備点検・警備・植栽、夜間の駆けつけ、会計・出納、クラウド報告ツールの利用料などになります。
下記の表を参考にしてみてください。
区分 | 代表項目 | 注意点 |
切替事務 | 解約予告書面、契約書締結、印紙 | 予告期限、違約金条項、契約開始日と検針日の整合 |
周知・掲示 | お知らせ配布、掲示板貼付、FAQ | 文面テンプレ、配布名簿、問い合わせ窓口の一本化 |
口座・収納 | 口座切替、収納代行設定、口座振替申請 | 移行月の二重請求防止、滞納リストの整備 |
帳票・台帳 | 点検記録、鍵台帳、資産台帳の整備 | フォーマット統一、電子データ共有、保管場所の明記 |
鍵・カード | 合鍵回収、カード再発行、シリンダー交換 | 作業範囲と単価、紛失時の負担、立会い計画 |
保守・保険 | 保守契約名義変更、保険付帯の再手配 | 中断リスク、更新月、保険金請求の受付窓口 |
設備対応(必要時) | 受水槽清掃前後の立会い、警備切替 | 立会い日程、警備コード変更、非常連絡票の差し替え |
- 初期の抜けを減らす鍵は「期限」と「担当」の固定です。各行に期日と担当名を追記しましょう。
- 周知はクレーム抑止の要です。文面テンプレとFAQを先に作り、配布名簿で配信漏れを防ぎます。
- 口座・収納は最優先で整えます。移行月の並行期間にチェック日を設け、二重請求を防止してください。
- 帳票・台帳と鍵管理は数量・版数の照合が肝心です。受領簿と写真記録で証跡を残しましょう。・保守・保険と設備対応は更新月と立会い日を早めに確定します。中断リスクをゼロに近づけます。
月次費用の見積もり比較ポイント
月次費用は単価だけでなく、体制と水準で評価しましょう。
人件費、巡回頻度、SLA(緊急駆けつけ・報告基準)の三本柱で比較するのがおすすめです。
評価軸 | 確認観点 | 記載例(見積・仕様書への明記) |
人件費 | 配置形態、勤務時間、代務対応、教育水準 | 常駐7時間×週5、代務費込み、年2回研修、欠員時の応援体制 |
巡回頻度 | 清掃回数、点検周期、悪天候時の振替、記録写真 | 日常清掃 週5、定期清掃 年2回、振替規定あり、写真提出 月次 |
SLA | 一次応答、現地到着、復旧目安、報告期限 | 一次応答15分、到着60分、暫定復旧24時間以内、報告48時間以内 |
追加費用条件 | 夜間・休日、出動回数上限、臨時作業の単価 | 夜間加算×1.25、月4回まで基本料内、臨時作業1時間あたり○○円 |
可視化 | 月次報告の項目、ダッシュボード、改善提案 | 苦情件数・対応時間、滞納推移、提案書 月1回、理事会前送付 |
数値と用語の定義を先に合わせます。例えば「到着60分」は現地到着の定義まで明記しましょう。
証跡の提出形を固定します。写真、ログ、報告書の書式を見積段階で添付してもらいます。
追加費の発生条件はグレーを残さないでください。時間帯、回数上限、単価改定の時期まで書きましょう。
可視化の指標をKPIで決めます。苦情件数、対応時間、提案件数を毎月レビューします。
単価だけで評価するのはNG。体制・頻度・SLAを横並びにし、総合点で比較するのがベスト。
マンション管理会社を変更するメリット4選

マンション管理会社を変更するメリットは以下のとおりです。
- 管理の質が上がる
- 住人の意識が高まる
- 管理組合の運営が円滑になる
- 新しい提案をいただける場合がある
順番に解説します。
【メリット①】管理の質が上がる
管理会社を比較し、今より条件のよいところに変更できれば、管理の質が上がるでしょう。
管理の質が向上する具体例は以下のとおりです。
- 住人同士のトラブルやクレームに迅速に対応してくれる
- 清掃や修繕などのメンテナンスが完璧になる
- 管理内容が費用に見合ったものになる
管理会社を変更するときは、変更先の業務内容が現在の管理会社よりもよいか確認しましょう。
管理内容がよくなると、住民の不満が解消されます。
【メリット②】住人の意識が高まる
マンションの管理会社を変える手順は、住民同士の交流を深める良い機会となります。
また、管理への関心を高めることにもつながります。
マンションの運営を任せる新しい会社を選ぶ時は、一部の住民だけで決めることは適切ではありません。
このような大切な決定は、管理組合が中心となって進める必要があります。
組合員を対象に説明会を開催し、意見交換のための話し合いの場を設けましょう。
最終的には、定期総会にて管理会社変更の議案を上程し、決める必要があります。
新しい管理会社を選ぶというプロセスは、マンションの所有者が主体的に関わるものです。
この決定は、マンションに住むすべての人に影響を与えるため、多くの住民が関心を持つでしょう。
このような活発な意見交換は、住民の管理意識を高めます。
そして、将来の管理組合の運営にも良い影響を与える可能性があります。
【メリット③】管理組合の運営が円滑になる
マンションの管理会社を交換することは、管理組合の運営を円滑化させる利点を持っています。
管理組合は、マンションの区分所有者、つまりマンションの個々の部屋の所有者から成る団体で、マンションの管理を担当します。
管理組合の仕事には、役員の選出、集会や理事会の実施、管理規約の策定など多岐にわたる業務が含まれます。
しかし、住人主導の管理組合は運営に関する専門知識が不足していることがしばしばあります。
もし現在の管理会社が管理組合の運営をサポートしていない場合、新しい管理会社への変更によって、より効率的な運営方法や有益なアドバイスを得る機会が生まれるかもしれません。
【メリット④】新しい提案をいただける場合がある
マンション管理を委託する際、管理会社の「提案力」は重要な選定基準の一つと言えるでしょう。
なぜなら、提案力が高い管理会社であれば、マンションが抱える既存の課題解決はもちろん、これまで見過ごされてきた潜在的な問題点の発見にも繋がるからです。
例えば、近年では車離れの影響で、マンションの駐車場に空きが目立つケースが増えています。
このような状況に対し、提案力のある管理会社であれば、駐車料金の見直しや外部への貸出など、空き駐車場の有効活用に向けた具体的なアイデアを提示してくれるでしょう。
管理会社は、マンション管理のプロフェッショナルとして、管理組合の良きパートナーとなるべき存在です。
新しい管理会社を選ぶ際には、豊富な知識や経験に基づいた的確なアドバイスや、状況に応じた柔軟な対応力など、総合的な「提案力」を重視することが重要です。
マンション管理会社を変更するデメリット

マンション管理会社を変更するデメリットは以下のとおりです。
- 管理の質が低下する可能性がある
- トラブルに発展する可能性がある
順番に解説します。
【デメリット①】管理の質が低下する可能性がある
マンションの管理会社の変更は、管理の質が低下するリスクを伴います。
特に、新しい管理会社を選ぶ際にその業務内容を十分に把握していない場合、現在の会社が提供しているサービス水準に劣る可能性があります。
コスト削減を主な目的として、現在の管理会社よりも安価な会社に変更することは、管理の質が低下するリスクが高まります。
ただ単に費用を削減するだけでなく、必要な業務内容をしっかりと確認し、事前にどのようなサービスが必要かを明確にしておくことが重要です。
さらに、マンションの管理人がどのような業務を行うかも確認することが推奨されます。
新しい管理人が、前任者が担当していた業務を全て行うとは限らないためです。
住人からの意見を集め、新しい管理人に求める業務の範囲を事前に整理しておくことが望ましいです。
【デメリット②】トラブルに発展する可能性がある
管理会社を変更すると、思わぬ問題が起こるかもしれません。これは、変更の手続き自体が原因となる場合があります。
管理会社を変えるには、総会で半数以上の賛成を得る必要があります。この手続きを踏めば変更自体は可能です。
しかし、きちんと手続きを踏んでも、変更に反対する人や、総会に出ていない区分所有者から不満が出ることもあります。
このような事態を避けるためには、総会で管理会社を変えるメリットをしっかり説明することが大切です。
そして、承認された後は、マンション全体に決定事項を丁寧に伝えれば、苦情を減らせます。
さらに、前の管理会社から新しい管理会社への引き継ぎは、とても重要です。
きちんと引き継ぎがされないと、管理会社が変わった後で、大切な書類や鍵などの貴重品がどこにあるかわからなくなる恐れがあります。
管理組合の大切な図面や書類などは、今の管理会社と、それがどこにあるのかをきちんと確認し、新しい管理会社にきちんと引き継ぐことが重要です。
マンション管理会社を変更する際の注意点

マンション管理会社を変更する際の注意点は以下のとおりです。
- 管理の質を重視する
- 引き継ぎは立ち会う
- 入居者に変更するメリットを伝える
- 管理費が安いという理由だけで選ばない
順番に解説します。
【注意点①】管理の質を重視する
管理費の低さを優先して管理会社を選ぶと、結果的にサービスの質に不満を持つような状況に陥るリスクがあります。
実際には、新しい管理会社のサービスが期待に応えられず、1年以内に元の管理会社へ戻すというケースも見られます。
管理会社の選定時には、コストだけでなくサービスの質にも重点を置くことが重要です。
そうすることで、変更後にサービスの質に対する不満が蓄積することを防げます。
【注意点②】引き継ぎは情報を共有する
新旧の管理会社間での引き継ぎプロセスには、可能な限り情報を共有することが望ましいです。
もし情報が共有されず引き継ぎが行われると、「必要な情報が伝わっていない」や「重要な事項が意図的に省略されている」といった問題が生じる可能性があります。
【注意点③】入居者に変更するメリットを伝える
居住者に対して、管理会社を変更する具体的な理由とそれに伴う利点を詳細に説明することが重要です。
単に旧管理会社の不備を強調するだけでは、否定的な印象を与えかねません。
管理会社を変更する際には、その変更がもたらすプラスの側面を強調し、入居者に対して前向きな視点で情報を提供することが望ましいです。
【注意点④】管理委託費用が安いという理由だけで選ばない
「管理委託費用が高い」という点を理由に管理会社を変える際には、低コストのサービスに惹かれがちですが、高い管理委託費用には適正な理由が存在することもあります。
そのため、単に安い管理委託費用を提供する会社を選ぶことは、期待していたサービスレベルと大きく異なる結果を招く可能性があります。
管理委託費用の詳細な内訳や提供されるサービス内容を理解し、コストパフォーマンスを慎重に評価することが重要です。
引継ぎ不備を防ぐチェックリスト

引継ぎ不備は後戻りの手間につながります。
引き継ぎ項目の担当や期限についての表を用意したので、確認してみてください。
書類・データ・鍵・保守契約・保証の引継ぎ項目
項目 | 具体内容 | 担当 | 期限 | 備考 |
管理規約・細則 | 最新版一式、改定履歴、ひな形 | 旧管理→新管理 | 切替前2週 | PDFと製本の両方 |
議事録・決議書 | 直近3年分、委任状集計、出席簿 | 旧管理→理事会 | 切替前2週 | スキャン保存 |
管理委託契約書 | 現契約と解約合意、新契約の原本 | 理事会 | 切替前2週 | 印紙、条項差分メモ |
長期修繕計画・年次計画 | 最新版、見直し履歴、実施状況 | 旧管理→新管理 | 切替前2週 | Excel版の原データ |
竣工図書・設備図 | 竣工図、配線図、系統図、CADデータ | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 保管場所リスト |
点検・法定検査記録 | 年次・月次の記録、指摘事項一覧 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 是正計画の進捗表 |
保守契約一覧 | 契約先、更新月、費用、SLA | 旧管理→新管理 | 切替前2週 | 名義変更の要否 |
メーカー保証・工事保証 | 保証書原本、保証範囲、満了日 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 進行中の請求案件 |
鍵・カード・シリンダー | 本数表、保管場所、再発行履歴 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 受領簿で数量照合 |
非常時連絡網 | 住戸名簿、要配慮者情報、連絡階層 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 個人情報の取り扱い手順 |
設備台帳 | 型式、製造年、更新歴、法定耐用年数 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 次期更新候補の抽出 |
専有・共用の境界リスト | 専有負担・共用負担の線引き表 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 紛争履歴のメモ |
電子データの引渡し方法 | フォルダ構成、アクセス権、バックアップ媒体 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 受渡し議事録を作成 |
ポイント
- 原本と電子(PDFなど)の二系統で受領
- 更新月、満了日、保証範囲を表で可視化
- 数量、版数、改定履歴を受領簿で固定
各項目は「原本」と「電子」の両建てで受け取り、版数や更新日まで記録してください。
契約・保証・保守は更新月の管理が肝心です。
例えば、更新直前の名義変更が遅れると保守対応が止まります。
鍵やカードは本数表で数量を照合し、受領簿と写真で証跡を残しましょう。
電子データはフォルダ構成とアクセス権を合わせ、受渡し議事録で責任の所在を明確にしてください。
金銭・口座・徴収・滞納管理の引継ぎ
項目 | 具体内容 | 担当 | 期限 | 備考 |
残高一覧 | 管理費・修繕積立金・基金の残高 | 旧管理→理事会 | 切替前1週 | 通帳写しと残高証明 |
銀行口座・権限 | 通帳、届出印、ネット権限、承認フロー | 理事会 | 切替前1週 | 権限者の変更届 |
前受金・未払金 | 前受管理費、未払工事費、未払報酬 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 引当の有無を明記 |
立替金・仮払金 | 立替明細、清算期日、証憑 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 領収書一式 |
収納代行・口座振替 | 収納ID、振替データ、締日、戻し処理 | 旧管理→新管理 | 切替前2週 | 二重請求防止の手順 |
請求・領収の様式 | 請求書・領収書の書式、番号付与ルール | 新管理 | 切替前1週 | 連番管理 |
滞納一覧 | 滞納額、月数、回収履歴、督促段階 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 次アクションの期限 |
滞納対策ルール | 督促手順、期限、弁護士連携の基準 | 理事会 | 切替前1週 | 規約条文の参照ページ |
返金・過誤入金 | 返金先、金額、根拠書類 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 二重入金の照合作業 |
保険金・補助金の入出金 | 申請中案件、入金予定、必要書類 | 旧管理→新管理 | 切替前1週 | 期限切れに注意 |
月次報告パッケージ | 試算表、元帳、出納帳、エビデンス一式 | 旧管理→新管理 | 切替後10日 | 初月は理事会でレビュー |
ポイント
- 残高と証憑を照合し、開始残高を確定
- 収納スケジュールを一覧化し、二重請求を遮断
- 滞納案件は段階と期限を次担当に引き継ぎ
金銭まわりは開始残高の確定が要です。
通帳写しと残高証明で数字を合わせ、前受・未払・立替の仕訳まで整えましょう。
収納代行と口座振替は締日と戻し処理の段取りを先に固め、移行月の二重請求を避けるようにします。
滞納については、一覧と対策ルールをセットで引き継ぎをおこない、期限と次のことを明記します。
切替後は月次報告パッケージを早期に受領し、初月レビューで不備を是正します。
マンション管理会社変更でよくあるトラブル

マンション管理会社変更でよくあるトラブルは以下のとおりです。
- フロント担当者の対応が悪い
- サービスの質が落ちる
- 口コミ・評判のみで決める
- 引き継ぎが不十分
順番に解説します。
【トラブル①】現場担当者の印象が悪い
多くの場合、営業担当者の流暢なトークや魅力的な人柄によって契約に至り、後になって後悔するケースが少なくありません。
営業担当者の主な目的は契約を獲得することであり、彼らは自社のサービスを積極的に宣伝します。
しかし、実際に物件の管理を行うのはフロント担当者です。
たとえ営業資料やプレゼンテーションが完璧であっても、フロント担当者が責任感に欠けている場合、安心してマンションの管理を任せることは難しいです。
【トラブル②】サービスの質が落ちる
管理費が安いことは確かに魅力的ですが、中にはコスト削減のために質の低いサービスを提供する管理会社も存在します。
人員削減によって清掃が不十分になる、提供されるサービスの範囲が狭まるなど、これらは住民の不満を招き、トラブルの原因となることがしばしばです。
短期間でのコスト削減が可能かもしれませんが、長期的には予定されていたメンテナンスや修繕が行えなくなり、結果的に建物の劣化を早めるなど、追加のコストが発生することも検討すべきです。
【トラブル③】口コミ・評判のみで決める
外部の比較サイトやSNSの口コミ、評判、ランキングをそのまま信じて決断することは、問題を引き起こす原因となり得ます。
これらの口コミやランキングには、必ずしも正確性が保証されていないものもあるためです。
また、掲載順位が特定の利害関係に基づいている場合もあり、信頼性に疑問が生じることがあります。
【トラブル④】引き継ぎが不十分
管理会社を変える際には、旧管理会社から新管理会社へ重要な書類などを引き継ぐ必要があります。
これらの重要な書類には、理事会・定期総会の議事録、定期総会の議案書、マンションの共有部分の鍵、およびその他の備品など、組合の運営に関連する全てのアイテムが含まれます。
過去には、これらのアイテムの紛失や不適切な管理により問題が発生したこともあります。
まとめ【マンション管理会社が変更になる理由を理解しましょう】
今回は、マンション管理会社が変更になる理由3選と併せて、マンション管理会社を変更するメリット・デメリットを解説しました。
マンション管理会社が変更になる理由は以下のとおりです。
- 管理費が高い
- 管理内容に疑問を感じる
- トラブルの対応に不満がある
それぞれ理解してからマンション管理会社を変更しましょう。
「マンション管理会社変更したいけど、やり方がわかんない……」
「今のマンション管理会社に不満がある……」
こういった悩みはありませんか?大切なことなので慎重になり、なかなか自分では動けませんよね。
弊社、株式会社デュアルタップコミュニティでは、管理会社の業務を知り尽くしたコーディネーターが適切なマンション管理をご提案致します。
今ならマンション管理会社変更についての無料相談・3分無料診断を行なっています。
相談は無料なので気軽にお問い合わせください。