【マンションの耐用年数は47年】過ぎたらどうなるのかを具体的に解説

「マンションの耐用年数ってどのように決められているのかな?」

「マンションの耐用年数を超えたらどうすればいいのかな?」

「中古マンションを購入するときの注意点が知りたい」

などとお考えではありませんか?

本記事では、耐用年数を決める要素と併せて、中古マンションの減価償却費の計算式や中古マンションを購入するときの注意点について解説します。

耐用年数を把握せずに中古マンションを購入したり、住み続けたりするのは安心して暮らせません。

この記事を最後まで読むと、建物の形状別の耐用年数が詳しくわかります。

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この記事の監修者

株式会社デュアルタップコミュニティ 代表取締役社長
池田 秀人

2017年6月株式会社デュアルタップ入社、2017年10月株式会社デュアルタップコミュニティ設立(取締役就任)、2018年7月株式会社建物管理サービスの株式取得し、完全子会社へ(取締役就任)、2019年7月専務取締役に就任、2020年7月代表取締役に就任~現在に至る

所有資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

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マンションの耐用年数は47年

マンションの耐用年数は47年

マンション(鉄筋コンクリート)の法定耐用年数は、47年と定められています。

これは毎年減価償却していき、最終的に償却がゼロになるのが47年ということです。

耐用年数を超えると性能が落ちるように思われがちですが、耐用年数=寿命ではありません。

鉄筋コンクリート以外の住宅用の耐用年数表は以下のとおりです。

構造・用途耐用年数
木造・合成樹脂造22
木骨モルタル造20
れんが造・石造・ブロック造38
金属造19〜34(大きさによって変動する)

参考:耐用年数(建物/建物附属設備)平成30年分国税庁

マンションの耐用年数が過ぎたらどうなるのか

マンションの耐用年数が過ぎたらどうなるのか
  • 売却する
  • 建て替える
  • 住み続ける

売却する

不動産会社にマンションを売却して、得られた利益をマンションの区分所有者で分配する方法があります。

売却益を転居する費用にあてられるため、別の住居で新しく生活ができます。

しかし、マンションを売却しても手元にあまり利益が残らない可能性があります。

一般的には、不動産会社は買い取ったマンションを一度解体して、新しくマンションやビルを建設します。

解体費用はマンションに住んでいた区分所有者が負担するため、売却益から差し引かれてしまいます。

このように手元に残る金額が少なくなってしまう可能性があるため注意が必要です。

建て替える

寿命を迎えたマンションを建て替える方法もあります。

建て替えてからは寿命を心配する必要がなくなるのが利点です。

しかし、マンションの建て替えには高額な費用が発生するため、あまり現実的ではありません。

建物の解体費と建築費をマンションの居住者で負担することになり、負担額は1戸あたり、1,000万円を超えるといわれています。

プラスで仮住まいでの居住費や引越し代がかかってしまいます。

すべての建物を建て替える場合は、区分所有者の5分の4以上の賛成を得ることが条件です。

仮住まいを探す労力が必要プラス、高額な費用の支払いが必要なため、反対する人は多いでしょう。

住み続ける

マンションの耐用年数を超えても住めないわけではないため、不具合があってもそのまま住み続ける場合もあります。

新築の頃からマンションに住んでいる人は、マンションが耐用年数を迎えた頃には、高齢になっている可能性が高いでしょう。

高齢になると、転居するのに体力をたくさん使うため、転居するのに消極的になるでしょう。

そのため、耐用年数を過ぎたマンションに住み続ける人がほとんどでしょう。

関連記事:マンション大規模修繕が必要な理由|工事内容やかかる費用の相場も解説

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【マンション】物理的耐用年数を決める要素

【マンション】物理的耐用年数を決める要素

物理的耐用年数を決める要素は以下のとおりです。

  • 耐震基準
  • メンテナンス

順番に解説します。

耐震基準

日本では、地震による建物の倒壊が多いため、建築基準法により「耐震基準」が定められています。

耐震基準とは、地震に対して建物が安全であるための基準のことです。

建物内の人を守ることを目的に、建築基準法によって定められています。

現在では、以下の3つの耐震基準があります。

  • 旧耐震基準
  • 新耐震基準
  • 現行耐震基準

旧耐震基準(1950年制定)

1950年(昭和25年)に設定された日本の旧耐震基準は、中程度の地震(震度5程度)に対して建物が大規模な損傷を避けることを目的としていました。

この基準によれば、建物が破損しても、修理を行えば再び使用可能な状態に戻せるとされています。

しかし、震度6以上のような大規模な地震が発生した場合、旧耐震基準を満たしている建物でも倒壊するリスクが高まります。

このため、耐震改修促進法の改正に伴い、旧耐震基準に基づいて建てられた建物は、耐震診断を受ける義務があります。

新耐震基準(1981年制定)

1981年(昭和56年)に日本で導入された新耐震基準は、震度6強から7の大規模な地震にも耐えられるように設計されています。

この基準に従って建てられた建物では、壁にひびが入ったり配管が損傷するなどの被害が発生する可能性はありますが、建物が大きく損傷することは防げます。

新耐震基準は、1978年の宮城県沖地震の教訓を受けて、以前の旧耐震基準よりもはるかに厳格な安全基準を設けたものです。

これにより、より強い地震に対する建物の安全性が高まりました。

現行耐震基準(2000年制定)

2000年(平成12年)に施行された日本の最新の耐震基準は、新耐震基準をさらに進化させたもので、特に建物の基礎構造や地盤の仕様に関して詳細な規定が設けられています。

この基準では、地盤調査を実施することがほぼ義務付けられており、建物の安全性をさらに確保しています。

さらに、壁の量や配置、接合部の詳細な条件も法律で厳格に定められています。

これにより、建築設計者の裁量に任されていた部分が、法的な基準によって統制されるようになりました。

不動産市場では、2000年6月以降に建てられた建物が好まれる傾向があります。

これは、これらの建物が現行の耐震基準に従って建築されており、より安全で長期にわたり安心して住めるとされているためです。

メンテナンス

マンションの耐久性は、適切なメンテナンスによって大きく左右されます。

定期的に行われる外壁のコンクリートやタイルの修理、共用部分のメンテナンス、配管の点検などは、建物の寿命を延ばす重要な要素です。

しかし、すべての部分がメンテナンス可能なわけではありません。

例えば、1960年代から1970年代にかけて建設された一部のマンションでは、配管がコンクリート内に埋め込まれており、これらの配管の交換は事実上不可能です。

通常、配管の耐用年数は約15年とされていますが、交換が困難な場合、配管の故障が建物全体の取り壊しにつながる可能性もあります。

中古マンションにお住まいの方や購入を考えている方は、建物の配管状況について確認することが重要です。

住んでいるマンションの管理組合や、購入前の不動産会社に配管のメンテナンス状況について尋ねることをお勧めします。

マンションの減価償却とは

マンションの減価償却とは

アパートやマンションなどの不動産は、経年によりその価値が徐々に下がっていきます。

この価値の減少分を「減価償却」と呼び、その分を経費として計上できるのが「減価償却費」です。

この減価償却費は、実際には現金の支出がなくても、所得から控除できる経費です。

ただし、土地の価値は減少しないため、減価償却の対象外です。

減価償却費の計算は、建物の耐用年数に基づいて行います。

耐用年数とは、建物が税務上どれくらいの期間使用できると見なされるかという、計算上の年数です。

この年数は建物の構造によって異なり、新築物件の場合は特に定められた耐用年数があります。

中古マンションの減価償却費の計算式

中古マンションの場合は、ある程度築年数が経過しているため、購入時点の耐用年数を計算する必要があります。

中古マンションの耐用年数は、以下の計算式で求められます。

(本来の耐用年数−築年数)+築年数×0.2=中古マンションの耐用年数

耐用年数がわかれば、国税庁の「減価償却資産の償却率」から償却率を求めます。

減価償却費の計算式は以下のとおりです。

(マンションの取得価額×償却率)+(設備の取得価額×償却率)=減価償却費

出典:国税庁「減価償却資産の償却率表」

中古マンションを購入するときの注意点

中古マンションを購入するときの注意点

中古マンションを購入するときの注意点は以下のとおりです。

  • 築年数
  • 立地
  • 管理状況
  • 災害リスク
  • 資金計画
  • リフォーム

順番に解説します。

築年数

マンションは築年数により、価格や耐震性能が異なるため、マンションを検討する際にはよく確認しましょう。押さえるべきポイントは以下のとおりです。

  • 年数が経っていると耐震基準が劣る可能性がある
  • マンションの価格は築年数の経過とともに下落する

年数が経っていると耐震基準が劣る可能性がある

1981年6月1日以前に建築確認申請が行われた建物は、当時の旧耐震基準に基づいて建てられており、主に震度5程度の地震まで耐えうる設計とされています。

しかし、1981年6月1日以降に建築確認申請がされたマンションは新耐震基準に従って建設されており、震度7強の地震に対しても耐える能力を有しています。

この新基準は、以前の基準よりもずっと厳格で、より高い安全性を確保しています。

マンションの価格は築年数の経過とともに下落する

マンションの価値は、建築から時間が経つにつれて徐々に低下し、特に築20年を超えると価格の下降ペースが緩やかになります。

築年数が浅いマンションは、内装や設備が新しく魅力的ですが、再販売時に価値が急激に落ちる可能性があります。

再販時の価値下落リスクを最小限に押さえたい場合は、築20年を超えるマンションの購入を検討するのが良いでしょう。

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立地

マンション選びにおいては、周辺環境の利便性を考慮することが重要です。

スーパーマーケット、学校、病院などの施設がどの程度近くにあるかは、日常生活の快適さを左右します。

子供のいる家庭では、近隣に公園や医療施設の有無が特に重要です。

公園があれば子供の遊び場として便利ですし、もし怪我や病気になったときには、近くの病院へ素早く連れて行けます。

管理状況

マンションの管理状態は、室内の見学の際に把握できます。

良好な管理が施されているマンションでは、エントランス、駐車場、ゴミ置き場などの共用部分が適切に清掃され、メンテナンスされていることが一般的です。

さらに、外壁や廊下の状態を観察し、ヒビや塗装の剥がれがないかをチェックすると、マンションが丁寧に管理されているかどうかの判断がしやすくなります。

災害リスク

災害リスクは、地震や洪水などの自然災害によってマンションが被害を受ける可能性を指します。

マンションを選ぶ際にこれらのリスクを無視すると、予期せぬ損害に直面する危険性があります。

特に、水害のリスクは自治体が提供するハザードマップを通じて事前に確認できます。

マンション購入の際、不動産会社の担当者は重要事項説明で物件の水害リスクについて説明します。

地震に関しては、マンションの耐震性能を確認することが重要です。

新耐震基準に基づいて建てられたマンションは、旧耐震基準の建物よりも優れた耐震性を持っています。

資金計画

住宅ローンは、一般的に20年から30年といった長期にわたる返済期間を設定します。

この返済期間中には、転職、退職、子どもの教育など、さまざまなライフステージの変化が起こり得ます。

これらの変化によって収入が減少したり、支出が増加したりすると、住宅ローンの支払いが困難になる可能性があります。

そのため、住宅ローンを契約する際には、未来のさまざまな事態を想定し、現実的で無理のない返済プランを慎重に立てることが重要です。

リフォーム

マンションを購入してリフォームやリノベーションを考える際には、まず管理規約の内容を確認することが大切です。

なぜなら、管理規約には、リフォームや工事に関する特定の制限が設けられている可能性があるからです。

例えば、床材の変更やキッチン、浴室などの水回りの設備の移動が禁止されているマンションもあります。

さらに、工事に必要な資材の運搬ルートや作業時間、管理組合への工事申請の手続きなど、リフォームに関連する様々な規定が管理規約に定められていることが一般的です。

マンションの寿命を少しでも伸ばす方法

マンションの寿命を少しでも伸ばす方法

マンションを効果的に長持ちさせるためには、タイミング良く適切なメンテナンスを実施し続けることが必要です。

適切なメンテナンスを行うためには、やはり修繕積立金が不可欠です。

ただし、最近では修繕積立金が不足しているために、適切なメンテナンスを行えないマンションも少なくありません。

多くの場合、「修繕を実施したいが、資金不足で実現できない」という問題が浮上しています。

このような状況を避けるためにも、長期的なメンテナンス計画を見直すことを推奨します。

それに基づいて、修繕積立金の増額を検討するのが賢明です。

マンションをできるだけ長持ちさせるには、適切なメンテナンスが欠かせません。

そのためには、必要な費用を予め確保しておくことが重要です。

耐用年数を超えた中古マンションを購入する際の注意点

耐用年数を超えた中古マンションを購入する際の注意点

耐用年数を超えた中古マンションを購入する際の注意点は以下のとおりです。

  • 売却が難しい
  • 住宅ローンの利用が難しい
  • 修繕積立金や管理費が高額になる場合がある

順番に解説します。

売却が難しい

中古マンションは新築物件に比べて価格が手頃であるため、市場には一定の需要が存在します。

しかし、築年数が40年を超えると、物件の老朽化や住宅ローンの取り扱いの難しさが購入の障壁になり得ます。

マンションを売却しようと考えたときには、古い物件に興味を持つ買い手は少なく、売却が困難になるか、低価格での売却を余儀なくされる可能性を考慮する必要があります。

売却時には購入時よりもさらに経年劣化が進んでいるため、購入者が魅力を感じるような条件の物件を選ぶことが重要です。特に次の点が重要となります。

  • 交通アクセスが良く生活に便利な立地
  • しっかりとした管理体制と定期的な修繕が行われていること
  • 共有施設の充実など、付加価値があること

住宅ローンの利用が難しい

中古マンションの購入時にも住宅ローンを利用することは可能ですが、築年数が経過した建物にはいくつかの注意点があります。

住宅ローンの返済期間は建物の法定耐用年数内に設定されるため、築年数が進んでいる場合、返済期間が短く設定されたり、借入金額に制限がかかったりすることがあります。

これは、建物の築年数が経つにつれて担保評価が下がるためです。

特に、築年数が古い場合には旧耐震基準の物件や再建築不可物件が多く含まれます。

これらの物件では、住宅ローンの利用条件が厳しくなる可能性があります。

住宅ローンの契約時には、通常、個人の信用情報が確認されますが、一部の金融機関では旧耐震基準のマンションに対して融資を行わない場合もあります。

この点を考慮して、物件選びや金融機関の選定を行うことが重要です。

修繕積立金や管理費が高額になる場合がある

マンションの管理費や修繕積立金は、建物が新しい時点では比較的低く設定されていることが一般的ですが、時間が経過するにつれてこれらの費用は増加する傾向にあります。

これは、建物の老朽化に伴い、必要な修繕作業の範囲が広がり、費用が増大するためです。

特に、12年から15年ごとに行われる大規模修繕の際には、修繕積立金が不足している場合、大きな一時金を支払う必要が生じることがあります。

この点を念頭に置き、将来的な大きな支出に備えることが重要です。

さらに、築年数が経つにつれて、個別の住戸内でもリフォームや小規模な修繕が必要になることが多く、初期の購入価格が安かったとしても、これら追加の出費が発生する可能性があるため、注意が必要です。

耐用年数経過後の減価償却資産の税金

耐用年数経過後の減価償却資産の税金

耐用年数を超えて減価償却が完了し、帳簿上の残価が1円となった資産も、固定資産税の対象となります。

資産の帳簿上の価値が1円や取得価額の5%以下の場合であっても、固定資産税は取得価額の5%を上限に算出される評価額に基づいて計算されます。

そのため、帳簿上の残価が1円である場合でも、固定資産税の評価額を1円とすることは避けるべきです。

また、資産を廃棄や売却した際には、その資産が減少したとして該当する市区町村への申告により、固定資産税からの除外が可能です。

一時的に使用されていない遊休資産も、使用可能な状態であれば課税対象とされます。

しかし、将来的に使用予定がなく、なおかつ再利用や売却、廃棄が行われていない資産は、用途廃止とみなされ、固定資産税の課税対象外となります。

廃棄や売却された資産の場合と同様に、減少した資産について各市区町村に申告を行うことが求められます。

まとめ【マンションの耐用年数を把握してから購入しましょう】

今回は、耐用年数を決める要素と併せて、中古マンションの減価償却費の計算式や中古マンションを購入するときの注意点について解説しました。

マンションの耐用年数が過ぎてからの対応は以下のとおりです。

  • 売却する
  • 建て替える
  • 住み続ける

自分に合うものを選びましょう。

「マンション管理会社変更したいけど、やり方がわかんない……」

「今のマンション管理会社に不満がある……」

こういった悩みはありませんか?大切なことなので慎重になり、なかなか自分では動けませんよね。

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